1998年4月、東京ドーム大会で現役を引退。7万人のファンが最後の「闘魂」を見届けた。その後、2013年に18年ぶりの国政復帰を果たす(写真/山内猛)
「プロレスを見る人の人生に、何らかの影響を与えるような試合をしたい」
生前の猪木はそう語っていた。アントニオ猪木の長き格闘人生を列車にたとえるならば、もっとも「猪木号」に長く乗車していたのは、家族でも側近でもなく、遠くから「アントニオ猪木」を見続けていた、無数のファンであったかもしれない。
プロレスを思想の領域にまで昇華させた「戦う哲学者」の残影は、いつまでも人々の記憶に残り続けることだろう。
取材・文/欠端大林
※週刊ポスト2022年10月21日号