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健康保険証廃止、マイナンバーカードに一本化に怒りの声 「国民の利便性が置き去りにされている」

今年6月にマイナポイントをPRした金子恭之総務相(当時)と広報キャラクター「マイナちゃん」。政府は宣伝に躍起となっているが……(時事通信フォト)

今年6月にマイナポイントをPRした金子恭之総務相(当時)と広報キャラクター「マイナちゃん」。政府は宣伝に躍起となっているが……(時事通信フォト)

 病院にかかる際の“常識”が大きく変わることになるのか。10月8日付の朝日新聞は〈保険証廃止 24年秋にも〉と報じた。記事によれば、保険証が廃止された後にはマイナンバーカードにその機能を一本化する方針だという。すでに昨年10月から「マイナ保険証」が導入され、取得することでマイナポイントが付与されるなど政府は普及を進めてきたが、医療機関側のカードリーダー設置が進まないなど、課題は多い。

 マイナ保険証を巡っては当初、受診した際に窓口で追加負担(3割負担の初診時で21円)が生じることについて批判が集まり、今年10月の診療報酬改定で引き下げ(同9円)の修正に追い込まれるなど、ドタバタが続いている。

 マイナ保険証による負担増を厳しく批判してきた経済ジャーナリスト・荻原博子氏は「自己負担が増えるという問題については、批判を受けて政府が急いで対応した格好ですが、まだまだ問題は多く残っています」と指摘する。

「そもそも、政府はマイナンバーカード普及のために予算をバラ撒いているにもかかわらず、取得者は国民の50%程度に過ぎません。2万円分のマイナポイントが受け取れることなどを打ち出していますが、本当に利便性があればそんなキャンペーンをしなくても普及が進んでいるはず。利便性が低いまま、無理に普及させるキャンペーンに税金を注ぎ込むなんておかしいでしょう」(荻原氏)

 マイナ保険証についても、医療機関の側で対応できる専用のカードリーダー設置がなかなか進まず、患者が受けられる恩恵が限定的という問題がある。荻原氏が続ける。

「医療機関はいま、コロナ対応なども含めて大変な状況下にある。だからこそ、マイナ保険証に対応するための設備の導入を様子見しているところも多い。今後、対応機器の導入が義務づけられるといいますが、医療機関側は金銭的負担がないかたちであってもシステムのアップデートなどの手間がかかるからやりたがらないでしょう。結局、政府がいくら宣伝しても取得率が低いので、今度は保険証を廃止して無理矢理マイナンバーカードを取得させようとする強引なやり方で、ひどい話だと思います」

 利用者の利便性が置き去りにされているところに、一番の問題があると荻原氏はみている。

「政府が本気でマイナンバーカードを普及させたいなら、まず医療機関側の体制を整えたり、運転免許証と一体化できるようにしたり、もっと国民の利便性を高めるべきです。そのために税金を使ったほうがいい。ポイント付与なんてしたって、電子決済を使わないお年寄りには何の意味もない。お金のかけ方が間違っています。ムダなところに税金を投じて無理矢理に取得を推奨するようなことはやめてほしいと言いたいですね」

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