「情報商材ビジネス」のNGフレーズとは…(elutas/イメージマート)
新宿に拠点を構え、これまでに3000件以上の風俗トラブルを解決してきた「グラディアトル法律事務所」の代表弁護士・若林翔氏のもとには、日々様々な相談が寄せられる。歌舞伎町のお膝元にある、紀伊國屋書店新宿本店の「新書部門(6月4週)」でランキング第1位を獲得した若林氏の著書『歌舞伎町弁護士』より、一部抜粋、再構成して紹介する。(記事内はすべて仮名)【前後編の前編】
* * *
日焼けした精悍な身体をエイプのスウェットのセットアップで包み、足元はマウンテンリサーチとリーボックがコラボしたエイリアンスタンパー(スニーカー)で決めている。見た目は総合格闘技の選手のようだが、口を開けば、今朝読んだ新聞の中身が全部頭に入っているかのように、経済情報が次々に飛び出す。若き起業家である安田くんは、年の頃は20代半ば。そんな安田くんから連絡があった。
「知り合いが、悪質な情報商材ビジネスに騙されてしまったようなんです。100万円も払ってしまって」
まあ、よくある話だ。
「ちょっと、その100万円のテキストを見てもらってもいいですか?」
安田くんが、ボッテガのバッグから薄い冊子を取り出した。
《退職金を10倍に増やす方法》
なるほど。中を開くと、経済系のウェブサイトからコピペしたような薄い内容の記事が並んでいる。ただ、中身が薄い本を100万円で売ることは、ただそれだけなら違法行為とはいえない。
すると、安田くんの反応は早かった。
「要するに、『絶対成功する』とか『3日で誰でもできる』とか、そういうフレーズがあったら違法性が高い、ということですよね」
そう言って、スマホをかざした。販売サイトのスクリーンショット。たしかに、アウトな文言だらけだ。