不安を言葉にする
北朝鮮のミサイル発射で「うつ」にならないためにはどうすればいいのか。青柳氏が解説する。
「トラウマの治療では、気をそらすのではなく“慣れる”ことがひとつの目標になります。人間は慣れる生き物ですから。例えばお化け屋敷を怖がって、見ないようにすればするほど怖くなる。逆に、冷静にじっと見れば『あそこは作り物だ』『あそこにライトがあるな』といったことがわかる。目をそらさずにテレビで解説されるミサイルの軌道を見て、日本には落ちないということを確認するのもひとつの手です。
また、隠したり我慢したりするのではなく、ちゃんと不安を言葉にすることは特に大切です。身内の人に“過去のこういう状況が思い出されてしまう”と打ち明けるのも効果的です」
警報音が鳴った時は交感神経が緊張状態にあるため、「大丈夫」「落ち着こう」と自分に言い聞かせ、呼吸を整えることも有効だという。呼吸は吸う息よりも吐く息を長くして呼吸を整えることで、緊張した交感神経を緩めることができるそうだ。
だが、深刻な場合には専門家を頼ることも必要だ。勝田氏が語る。
「現在は様々な治療法が確立されており、トラウマを専門とする医療機関もあります。看板だけ見て選んでも通常の精神科外来ではマッチしないので、お住まいの都道府県・政令都市の精神保健福祉センターの相談ラインなどで、トラウマを扱っている医療機関を紹介してもらうのが良いでしょう」
日本人のメンタルを攻撃する北朝鮮のミサイル連発。なんとも厄介だ。
※週刊ポスト2022年10月28日号