警報音は他にも多くの要素が考慮されて作られているという。
「様々な騒音の下でも認知しやすいこと。その音が危険を知らせるものであるとすぐにわかること。広い年齢層を対象にしたものであること。緊急地震速報なら、その音を聞いた人が“机の下に隠れる”など必要な行動に移ることができるなど、複数の要素が求められます」(青柳氏)
だが、それゆえに警報音に苦しめられる人も多い。都内在住の30代女性が語る。
「北朝鮮のミサイルにロシアの核による威嚇。そんなニュースばかりで鬱々とした気持ちになっている時に、Jアラートのサイレン音がして。恐怖で一瞬、身動きが取れなくなりました。あのウーウーという不気味な音が耳から離れなくて困っています」
過去には緊急地震速報の音が議論になったことがある。
2011年の東日本大震災以来、緊急地震速報の音でフラッシュバックを起こす被災者が多く、スマホで速報が鳴らない設定にする人が続出した。
「2016年4月の熊本地震の際でも避難所で緊急速報の音に否定的な声が相次ぎました。余震が起こるたびに避難所にいる人たちの携帯電話から一斉に緊急速報が鳴り、精神不安になる人が相次いだのです」(青柳氏)
この時は「恐怖を煽るような音はやめてほしい」「もっと明るい音にしてほしい」といった意見と、「怖いくらいの音でなければ意味をなさない」という意見があり、結論が出なかったという。
SNS上にも被災経験者のこんな声が書き込まれたことがある。
〈NHKを見てて緊急地震速報の音聞いてから酷い頭痛と吐き気に襲われててもうすぐ12時間経つけど治らない〉
北朝鮮のミサイルを巡っては、今後も挑発的な発射が続くと見られている。Jアラートが再び鳴り響く日が、そう遠くない日にやってくるかもしれない。