国際情報

習近平3期目続投で2024年「台湾侵攻」に現実味 日本が陥りかねない「戦わずして負ける」事態

台湾政策が強硬路線に傾いてしまうと、日本にも影響か(写真=SPUTNIK/時事)

中国の台湾政策が強硬路線に傾いてしまうと、日本にも影響か(写真=SPUTNIK/時事)

 日中国交正常化50周年となる今年、国内でも日中友好を祝う様々なイベントが開催されている。ところが、その陰で中国が張り巡らせている数々の“罠”に日本が絡め取られようとしていた──。ジャーナリストの峯村健司氏がレポートする。(文中敬称略)

 * * *
 10月16日に始まる第20回中国共産党大会を前に、日本メディアでは新体制の人事を巡る予想記事が相次いでいる。5年に一度開催される共産党の最も重要な会議だ。今回は、共産党トップを2期務めた習近平が続投するかどうかに注目が集まっている。

 筆者に言わせれば、これは焦点でもなんでもない。習の3期目続投は今夏の段階で100%確定しているからだ。

 北京から東へ約280キロ離れた河北省の避暑地、北戴河で8月上旬に開かれた会合でのことだ。通称、「北戴河会議」と呼ばれ、共産党や政府の高官に引退幹部らが加わり、党の重要な政策や人事について議論が交わされる。

 特に党大会が開かれる年の北戴河会議は、新政権の人事が話し合われるのでその動向を探ることは極めて重要だ。

 ただ、会議の内容や期間はおろか、開かれたことすら公表されない秘密会合だ。いったい何が話し合われたのだろうか。

 毎年会議に出席する引退幹部を親族に持つ党関係者に尋ねた。

「習氏の進める『ゼロ・コロナ』政策や民間企業への締め付けなどの経済政策について、引退幹部の一部から批判が出ました。しかし、続投に異議を唱える人はいなかったようです」

祖国統一を成し遂げる

 続投に向けて習は着々と布石を打ってきた。

 2018年に憲法を改正し、2期10年と定めていた国家主席の任期を撤廃した。この際、共産党内では、毛沢東によってもたらされた経済・社会の混乱に対する反省から、独裁回帰につながる任期撤廃には根強い反対の声があったという。

 任期撤廃について習が党内を説得した最大の材料が台湾問題だった。中国軍系シンクタンク研究者は、当時の舞台裏を解説する。

「習主席は自分が責任を持って祖国統一の偉業を成し遂げると強調しました。ただ、そのためには10年では時間が足りないとも語り、任期延長の必要性を説きました」

 これを機に習の台湾政策は強硬路線に傾く。

「台湾独立は歴史に逆行しており、破滅する。中国人は中国人を攻撃しない。しかし、外部勢力による干渉や独立分子に対しては、武力行使の放棄を約束しない」

 2019年1月の演説では、これまでの「平和統一」から軍事力を使う可能性に言及したのだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
「パー子さんがいきなりドアをドンドンと…」“命からがら逃げてきた”林家ペー&パー子夫妻の隣人が明かす“緊迫の火災現場”「パー子さんはペーさんと救急車で運ばれた」
NEWSポストセブン
豊昇龍
5連勝した豊昇龍の横綱土俵入りに異変 三つ揃いの化粧まわしで太刀持ち・平戸海だけ揃っていなかった 「ゲン担ぎの世界だけにその日の結果が心配だった」と関係者
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
韓国アイドルグループ・aespaのメンバー、WINTERのボディーガードが話題に(時事通信フォト)
《NYファッションショーが騒然》aespa・ウィンターの後ろにピッタリ…ボディーガードと誤解された“ハリウッド俳優風のオトコ”の「正体」
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
NEWSポストセブン