「ベルギーの当局者が誤って公表したファイザー製ワクチンの価格表によると、アメリカは接種1回分19.5ドル(約2010円。2020年末当時の1ドル=103円として計算)で、ヨーロッパは14.7ドル(約1510円)でした。日本は高価格でファイザーと契約したとみられます。ちなみに英ガーディアン紙の報道では、ファイザー製ワクチンの原価はおよそ1ドル(約103円)とのことです」
8億8200万回分というのも並外れた数字だ。全国民1億2000万人が規定の2〜4回接種をしても、およそ4億〜6億4000万回分のワクチンが余る計算になる。しかも今後はオミクロン株に対応するワクチンが主流になり、従来のワクチンは出番がなくなると考えられる。
実際、これまでも使用期限が切れて使えなくなったワクチンの廃棄が問題視されてきた。共同通信の調査によれば、今年6月上旬の時点で73万9085回分のモデルナ製ワクチンが都道府県庁所在地と政令指定都市27市区で廃棄された。税金を投入したワクチンが捨てられるのは一大事だ。
しかし、5月17日の記者会見で後藤茂之厚労相(当時)は「現時点では接種にあたる医療現場の負担となるため、廃棄の実態調査は行わない」と語った。それから5か月が経って新型コロナは落ち着いたが、廃棄の実態調査が行われる気配はない。小島さんが政府の対応を批判する。
「そもそも普通のビジネスなら、2回接種を前提としていたら、その4倍近いワクチンを購入するなんて考えられません。しかも2021年10月の段階で海外ではワクチンの余剰が問題視され、日本も在庫分の期限切れに直面していたのに、年度末の今年3月16日にファイザー7500万回分、モデルナ7000万回分を購入したことは納得できません。国はワクチン購入の審議過程やメーカーとの契約内容について、これからでも明らかにすべきです」
莫大な費用を要したのはワクチンそのものにだけではない。金額は明らかにされていないが、注射器やワクチン保管のための冷凍施設、そして輸送などにも、同じく多額の費用がかかっていることを忘れてはならない。