芸能

『ラスト サムライ』キャスティング・ディレクター「天皇役」には「普通ではない」役者を

どう配役を決めたのか(C) 2004 Warner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved.

どう配役を決めたのか(C) 2004 Warner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved.

『ラスト サムライ』には渡辺謙、真田広之の他にも数多くの日本人俳優が出演している。それぞれの配役の経緯について、映画史・時代劇研究家の春日太一氏が、キャスティング・ディレクターの奈良橋陽子氏に聞いた。

 * * *
――まずうかがいたいのは、天皇役の中村七之助さんについてです。

奈良橋:天皇をやる俳優といったら、特別な感じがないといけないと思ったんですよね。それで何人か候補を出しました。その中で、七之助さんは話をしていても非常に特徴がある方なんですよね。まさに、「普通」ではない。しかも、彼が既に持っているたしかな背景もあるじゃないですか。

 素晴らしい歌舞伎俳優で、舞台を見たりしていても彼は存在感がものすごくあった。もう他を圧倒していましたね。

――奈良橋さんはその後の『終戦のエンペラー』で片岡孝太郎さんを昭和天皇に配役しています。天皇を演じるとき、歌舞伎俳優が向いてるということなのでしょうか。

奈良橋:人の「品」とかは、演技で後からパッとつけられるものではないと思うんですよね。やっぱり、生まれが大事な部分もあります。

 だから、『終戦のエンペラー』の時も孝太郎さんしかいないと思ってました。それで孝太郎さんにお願いしたところ「父と会ってほしい」と。そこで仁左衛門さんにお会いしたら「駄目だね」と言われたんです。とにかく一生懸命お願いしたところ、ひとまず「ちょっと考えるね」と。そのとき楽屋を出たところに七之助さんが、そして勘三郎さんもいらしたの。

『ラスト サムライ』で七之助さんに決まった時も勘三郎さんはご本人より喜んでくださったぐらいなんです。それがあったので、その時も勘三郎さんが孝太郎さんに「絶対やったほうがいい」と言ってくださって。幕を隔てた後ろに仁左衛門さんもいらした。この話を聞いていてほしいなと思っていたら翌日にOKをいただけました。

――トム・クルーズの相手役は小雪さんでした。

奈良橋:彼女のクラシックな感じにとても惹かれたんです。

 あの役の場合は、最後に二人残ったんです。小雪さんともう一人の方が。で、最後に決めるためにカメラテストをすることになり、ロサンゼルスに二人を呼びました。そして照明や衣装を本番同様にセッティングして、実際に二人ともトム・クルーズと演技もしてもらって、それで決まったんです。

 トムと実際にやってみた時のケミストリー、それにトム自身の意見もありますからね。そういうことから判断しました。

関連記事

トピックス

遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン