ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富で、ローカロリー。野菜が健康にいいのは間違いないが、ただ食べればいいというわけではない。『毒になる食べ方 薬になる食べ方』の著者で管理栄養士の森由香子さんが指摘する。
「生野菜のサラダは消化吸収に時間がかかるため、胃腸が弱っているときは負担になります。また、野菜の食物繊維は多くが不溶性。便のかさを増やして腸を刺激し便秘を改善する効果がありますが、もともと便秘症の人が急に生野菜を食べすぎると、かえって便秘が悪化する恐れがあります」
野菜不足を解消したいなら、サラダよりも加熱した野菜の方がいい。「熱でビタミンが壊れる」ともいわれるが、心配はない。内科医で日本中医薬学会理事の関隆志さんが言う。
「ビタミンCやB1、酵素などは、確かに加熱によって減少します。しかし、完全にゼロになるわけではありません。加熱した分、かさが減るので生よりも食べられる量が増え、結果的に充分な栄養を摂取できます」
とはいえ、すべての野菜が体を冷やすわけではなく、中医学やインド医学などでは、体を温める野菜と冷やす野菜があるとされ、現代でも臨床に使われている。加熱すれば野菜の細胞壁が壊れ、消化吸収もしやすくなる。だが、ミキサーにかけたスムージーや野菜ジュースは、理想的な野菜の摂り方とはいえない。
「スムージーは多量の食物繊維を一度に摂ることでガスがたまりやすくなり、腹痛を引き起こすことも。野菜ジュースは、野菜の代わりにはなりません。加工する過程で、食物繊維や葉酸、ビタミンCなど、野菜から摂れる栄養の大半が大幅に減少してしまうのです」(森さん・以下同)
また、野菜ジュースには砂糖や人工甘味料、食塩などが多く添加されているものも少なくないため、飲みすぎは糖質過多や中性脂肪の増加につながる恐れもある。健康を支える栄養が豊富だからこそ、野菜の摂り方は間違えたくない。
消化を助ける大根おろしは、おろしたてを食べなければもったいない。
「大根のビタミンCや酵素は、すりおろした瞬間から、時間が経つごとに減少していくため、食べる直前におろすのがベストです」
また、トマトは赤いものよりもオレンジ色のものの方がβ-カロテンが多いとされている。
※女性セブン2022年11月10・17日号