侍ジャパンでも活躍。今オフのFA市場の目玉となっている西武・森友哉(時事通信フォト)
侍ジャパンの試合前、原監督と森友哉が接触
巨人は2年連続以上でV逸すると、大型補強に走ってきた歴史がある。最近では2010年オフに杉内俊哉、村田修一という他球団のエースと4番、2016年オフに山口俊、森福允彦、陽岱鋼、2018年オフに丸佳浩、炭谷銀仁朗というFA選手を獲ってきた。
「今年はFA宣言した森友哉の獲得調査をしていますが、来てもらえるかわからない。今回の長野と松田というベテランの補強は、まだFAのなかった1980年代を思い出します。王貞治監督が就任1、2年目で勝てなかった1985年オフ、近鉄からトレードで有田修三、加藤秀司、西武から高橋直樹が移籍してきた。翌年にはそれぞれ35歳、38歳、41歳になるベテランでした。
有田は正捕手の山倉を脅かす存在として活躍しましたが、前年まで主力級の活躍をしていた加藤秀司や高橋直樹は、巨人でそこまで活躍できなかった。この時、巨人の4番だった原辰徳監督は今オフの補強で、当時の有田のように1人でも主力に刺激を与える存在が出てくればいいと考えているかもしれません」
11月6日の侍ジャパン対巨人の試合前、原監督はFA宣言をした西武の森友哉を手招きで呼び寄せ、グラウンドで約1分間言葉を交わした。
「以前のように、手を挙げれば巨人に来てくれる時代ではなくなっている。原監督は2019年のオフに美馬学、鈴木大地の獲得に失敗しており、FA選手を確実に獲得できるわけではないことも思い知っている。2次政権の前半にFAで獲得した小笠原道大などは幼少時、巨人の4番を打っていた原辰徳を知っている世代だった。2次政権の後半になると、2009年のWBCで指揮を取った原監督と一緒に戦った村田修一や片岡治大をFAで獲得した。今までは“原辰徳”という名前のブランド力もあったと思います」
森友哉は原辰徳の引退した1995年に生まれており、その現役時代を知らず、国際大会で同じユニフォームを着たこともない。
「森が小学生の頃には巨人戦の地上波中継もどんどん減っていました。以前のFA選手のように、巨人に対する強い憧れを持っているわけではないでしょう。原監督はそれをわかっていて、森とコミュニケーションを取ったのでは。ただ、試合中にベンチ裏で暴れて骨折するようなヤンチャな森が巨人に合うかどうか。大阪桐蔭の先輩である中田翔がいて、やりづらい面もあるかもしれません。
森の獲得が失敗に終わることも想定して、巨人は松田に手を伸ばした事情もあるのでは。とにかく補強をして、なんとしても来年勝つんだというメッセージを選手に送りたいのでしょう。名のある選手を獲るに越したことはない。松田は1年不調だっただけで、来年は復活するかもしれないですしね」
FA市場が本格化する前から、水面下でうごめく駆け引き。長野に続いて松田も獲得した巨人は、来季どんな布陣でペナントレースにのぞむのか──。