ライフ

【オバ記者が病床に伏して考えたこと・第3回】内診台を前に感じた恐怖と後悔

手術当日の朝、同じ手術を経験した先輩から「まな板の上の鯉になればいいのよ」と声をかけられた

手術当日の朝、同じ手術を経験した先輩から「まな板の上の鯉になればいいのよ」と声をかけられた

 元気な笑顔がトレードマークの「オバ記者」こと野原広子さん(65才)。女性セブンの名物ライターとして活躍する彼女が、“卵巣がんの疑い”と診断された。検査を後回しにしていたオバ記者が、下腹の膨らみを感じたのは昨年8月。そこから母の介護を続けるなかで、左腰に痛みを感じることもあったという。そして今年の5月、6月くらいになると、下腹部はますます膨れ上がってきた──。オバ記者が綴る、病の床からの回想レポートです。【第3回。第1回から読む

 * * *
 これは放っておいていい異変じゃない。「女は風邪ひいても婦人科に行けっていうのよ。さっさと行け」と友達もけしかけてくれた。

 でも、「よしっ」と勢いよく返事をしたものの、実際に区の無料婦人科検診の予約をしたのは1か月後で、内診台に乗ったときにはさらに半月が経っていた。

 ……そうなんだよね。一般的な検診のイヤさは「もし大きな病気が見つかったらどうしようか」に尽きるけれど、婦人科検診のイヤさはそんなもんじゃない。

 人間性を否定した内診台……。一見ふつうの椅子が、グオ~ンと動き出したとたん、背中が倒れて腰が持ち上がり、両脚が「ウソッ」というほど拡げられて医師の前に突き出されるって……初めて座ったときのショックといったらなかったもの。

 内診台といえば、こんなことがあった。

 ある婦人科系の専門病院に行ったときのこと。その病院はオシャレな商業施設の中にあって、すごくスタイリッシュ。入り口のドアを開けたとたん光が満ちあふれていて、内診台の恐怖でゴリゴリにこわばっていた体が一瞬でほどけるようなの。

 当たり前だけど患者は女性ばかり。医師も看護師もそう。高校時代、女子クラスで3年間過ごした私は、女の園というだけで気が楽になるんだわ。

 ところが、待合室をかねている廊下の椅子に座って自分の番を待っている間、わが目を疑うようなことが起きたの。

 30代のママが10才くらいの男児と入ってきたのよ。男児はここがどんなところか関心はなく、子供向けの科学雑誌を熱心に読んでいる。いかにも利発そうな少年だ。でも、彼の座っている通路から手を伸ばせば、診察室のドアに手がかかるんだよね。

 診察室のドアを背に内診台がある。もしうっかり医師か看護師がドアを開けたら、男児はとんでもないものを目にすることになる! それが気になって仕方がない。てか、ここに男児を連れて入ってくる若いママの神経がわからない。

 そのうちまた同じような年かっこうのママと男児が入ってきて危険は2倍になった!

関連キーワード

関連記事

トピックス

WSで遠征観戦を“解禁”した真美子さん
《真美子さんが“遠出解禁”で大ブーイングのトロントへ》大谷翔平が球場で大切にする「リラックスできるルーティン」…アウェーでも愛娘を託せる“絶対的味方”の存在
NEWSポストセブン
ベラルーシ出身で20代のフリーモデル 、ベラ・クラフツォワさんが詐欺グループに拉致され殺害される事件が起きた(Instagramより)
「モデル契約と騙され、臓器を切り取られ…」「遺体に巨額の身代金を要求」タイ渡航のベラルーシ20代女性殺害、偽オファーで巨大詐欺グループの“奴隷”に
NEWSポストセブン
高校時代には映画誌のを毎月愛読していたという菊川怜
【15年ぶりに映画主演の菊川怜】三児の子育てと芸能活動の両立に「大人になると弱音を吐く場所がないですよね」と心境吐露 菊川流「自分を励ます方法」明かす
週刊ポスト
ツキノワグマは「人間を恐がる」と言われてきたが……(写真提供/イメージマート)
《全国で被害多発》”臆病だった”ツキノワグマが変わった 出没する地域の住民「こっちを食いたそうにみてたな、獲物って目で見んだ」
NEWSポストセブン
2020年に引退した元プロレスラーの中西学さん
《病気とかじゃないですよ》現役当時から体重45キロ減、中西学さんが明かした激ヤセの理由「今も痺れるときはあります」頚椎損傷の大ケガから14年の後悔
NEWSポストセブン
政界の”オシャレ番長”・麻生太郎氏(時事通信フォト)
「曲がった口角に合わせてネクタイもずらす」政界のおしゃれ番長・麻生太郎のファッションに隠された“知られざる工夫” 《米紙では“ギャングスタイル”とも》
NEWSポストセブン
イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
《ビザ取り消し騒動も》イギリス出身の金髪美女インフルエンサー(26)が次に狙うオーストラリアでの“最もクレイジーな乱倫パーティー”
NEWSポストセブン
東京都慰霊堂を初めて訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年10月23日、撮影/JMPA)
《母娘の追悼ファッション》皇后雅子さまは“縦ライン”を意識したコーデ、愛子さまは丸みのあるアイテムでフェミニンに
NEWSポストセブン
将棋界で「中年の星」と呼ばれた棋士・青野照市九段
「その日一日負けが込んでも、最後の一局は必ず勝て」将棋の世界で50年生きた“中年の星”青野照市九段が語る「負け続けない人の思考法」
NEWSポストセブン
2023年に結婚を発表したきゃりーぱみゅぱみゅと葉山奨之
「傍聴席にピンク髪に“だる着”姿で現れて…」きゃりーぱみゅぱみゅ(32)が法廷で見せていた“ファッションモンスター”としての気遣い
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKI(右/インスタグラムより)
《趣里が待つ自宅に帰れない…》三山凌輝が「ネトフリ」出演で超大物らと長期ロケ「なぜこんなにいい役を?」の声も温かい眼差しで見守る水谷豊
NEWSポストセブン
松田聖子のモノマネ第一人者・Seiko
《ステージ4の大腸がんで余命3か月宣告》松田聖子のものまねタレント・Seikoが明かした“がん治療の苦しみ”と“生きる希望” 感激した本家からの「言葉」
NEWSポストセブン