スポーツ

解説・松木安太郎氏の「いいボールだ!」絶叫はなぜ減った? 研究家が感じ取ったW杯の“異変”

松木安太郎氏が「いいボールだ!」と絶叫するタイミングに変化?(時事通信フォト)

松木安太郎氏が「いいボールだ!」と絶叫するタイミングに変化?(時事通信フォト)

 サッカーW杯カタール大会、1次リーグ・グループE組の2戦目で日本はコスタリカに0対1で敗れた。テレビ朝日では松木安太郎氏と内田篤人氏が解説を務め、視聴率42.9%(ビデオリサーチ調べ/関東地区。以下同)をマークした。松木安太郎研究家でライターの岡野誠氏はこの一戦で、松木氏のキラーフレーズである「いいボールだ!」の使い方に微妙な変化を感じ取っていた──。

 * * *
 近年、松木安太郎氏が「いいボールだ!」という回数が減っている。

 コスタリカ戦では後半32分相馬勇紀のCKに「おお、いいボールがきた!!」、続く33分の伊東純也のCKに「よっしゃ、いいボール!」と叫んだ。後半26分には鎌田大地が右サイドの伊東にロングフィードした際、吉野真治アナが「いいボールが通った!」と実況すると、「いいボールだ!」と追随した。ただ、松木氏の「いいボールだ!」の魅力は、選手が蹴った瞬間や直後に発する点にある。このシーンはあくまで『結果論いいボール』だった。

 つまり、コスタリカ戦を通して、松木氏は本当にいいボールになるか不明の状態で2度しか「いいボール」と叫んでいない。内田篤人氏の「いいボールだ!」(前半32分、37分)と同じ回数に留まった。

 これは以前の松木氏の解説を知る者にとっては、大いなる“異変”である。いったい、何が起こっているのか。かつての松木氏は、あまりに不用意に「いいボールだ!」と叫んでいる側面もあった。その好例として、2005年2月9日、ドイツW杯アジア最終予選の日本対北朝鮮戦の松木氏の解説を振り返ってみよう。

【※以下、ゴール前へのクロス「いいボール」を対象。左から試合時間(テレビ画面表示)、選手名、松木氏の叫び、その結果。本当にいいボールなら○、そうでなければ×】

前半27分 小笠原満男 「あ~いいボールだ!」→ DF難なくクリア ×
前半27分 鈴木隆行 「いいボールだ!」→ あと一歩、宮本恒靖に及ばず ○
前半32分 三都主アレサンドロ 「おおっ~いいボールだ!!」→ 誰にも合わず、GKパンチング ×
前半41分 小笠原満男 「おお、いいボールだ!!」→ GK正面。難なくパンチング ×
前半44分 三都主アレサンドロ 「おっおっ、いいボールだ!」→ DF難なくクリア ×
前半44分 小笠原満男 「お、いいボールだ!!」→ 鈴木隆行がヘディングシュート ○

後半1分 三都主アレサンドロ 「いいボールだ! 打て! 打て!」 → 玉田圭司、鈴木隆行に惜しくも届かず ○
後半12分 加地亮 「いいボールだ!」→ DF正面、ヘッドでクリアされる ×
後半21分 加地亮 「いいボールだ! よしっ!」→ 高原直泰がGKと競るもクリアされる ○
後半37分 三都主アレサンドロ 「いいボールだ!」→ DF難なくクリア ×

 10回も「いいボールだ!」と叫びながら、本当にいいボールは4回しかなかった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト