国際情報

中国激震の「習近平退陣要求デモ」 参加者男性が決死の告白「今、立ち上がるときだ」

新宿駅前ではデモが盛り上がった

新宿駅前ではデモが盛り上がった(撮影/西谷格氏)

 11月26日夜から27日にかけて、中国全土で「ゼロコロナ政策」への抗議デモが続発した。上海ではデモ参加者たちが「皇帝よ、退陣せよ!」と習近平・国家主席を激しく批判するシュプレヒコールを上げた。「何を書いても消される」という当局の言論弾圧を象徴する白い紙を手にした参加者たちは、警察官に取り囲まれ、拘束者も出た。言論の自由が認められない中国で反政府デモを行なうのは命がけである。なぜ彼らはデモに参加したのか──決死の声を上げた現地在住の20代男性A氏が、中国事情に詳しいライター・西谷格氏の取材に応じた。A氏への取材は機密性の高いチャットアプリ「テレグラム」を通じて行なわれた。

 * * *
 11月24日に新疆ウイグル自治区の区都・ウルムチのマンションで火災が発生し、10人が死亡。ゼロコロナ政策によって建物が封鎖されたため救助が遅れたと指摘され、デモの引き金となった。上海では11月26日夜から「ウルムチ路(通り)」に200人ほどの人が集まり、追悼やデモを行なった。このデモに参加したA氏は日本への留学経験もあるという。

「11月26日夜にツイッターで流れてきた動画を見て、『ロックダウンはいらない、自由が欲しい!』などのスローガンに深く共感しました。日本に住む知り合いから、東京・新宿でも同様の活動をすると聞いたので、私も上海で参加したいと思ったんです。現場には26日夜からずっと人が集まっていたので、27日夜に行ってみました。中国人は今、覚醒し立ち上がる時だと思ったのです」(A氏。以下同)

 中国のネット空間はツイッターなどの西側の情報をシャットダウンしているものの、若い世代の間では「VPN」と呼ばれる“ネット上の抜け道”を使ってアクセスしている人も少なくない。Aさんが到着した時点で、すでに多数の警察や私服警官、重装備の特殊警官などが集まっており、緊張感が漂っていたという。

「警備が厳しく、人々のスマホの中をチェックしている私服警官もいました。私は少し離れたところから見ていましたが、この頃にはスローガンを叫んだり白い紙を掲げたりできる状況ではなく、ただ人が集まっているという感じでした。それでも、一触即発の緊張感が漂っていたのを覚えています。21時頃に警察は行動を開始し、逮捕者も出ました。仲の良い友人数名と一緒に行きましたが、デモに加わるのはとても怖かった。何枚か写真も撮りましたが、私服警官が周囲を見張っていたので、あまり撮れませんでした」

 恐怖のなかでも行動しようと思ったのは、過酷なゼロコロナ政策による自由のない生活に対して、「我慢の限界を迎えたから」とA氏は語る。

「コロナ蔓延の2年目の時点で、人々はすでに不満を抱き始めていました。でも、全体の流れとして我慢するしかなかった。みんな、どうやって声をあげたら良いのか分からなかったのです。その後、ウルムチで火災が起きた際も習政権は事実を歪曲しようとした。それは、ユダヤ人迫害を行なっていたナチスのようですらあった。ゼロコロナ政策に科学的根拠はなく、政策ありきのものになっています」

関連キーワード

関連記事

トピックス

まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
生徒のスマホ使用を注意しても……(写真提供/イメージマート)
《教員の性犯罪事件続発》過去に教員による盗撮事件あった高校で「教員への態度が明らかに変わった」 スマホ使用の注意に生徒から「先生、盗撮しないで」
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《ロマンス詐欺だけじゃない》減らない“セレブ詐欺”、ターゲットは独り身の年配男性 セレブ女性と会って“いい思い”をして5万円もらえるが…性的欲求を利用した驚くべき手口 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)
番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン