放送作家の野末陳平氏(時事通信フォト)
「君は偉い」と言いたい
“アントニオ猪木”の名前には、神々しさを感じてしまう。君はプロレスファンにとっては生き神様のような存在で、それ以外の人にとっても、並の人間ではないとのイメージがあった。だからみんな、君に惹きつけられたんでしょう。
僕は今、君に「偉い」と言いたい。
難病に罹って余命幾許もないと自覚した時に、普通なら隠し通すであろう死に際まで、全部テレビカメラの映像で公開し、燃える闘魂・猪木が死んでいく様をみんなに見てもらった。それは君流の、平和への願いにまで通じる偉業ではないかと僕は思っている。
「最も人に見られたくないところを公開して、それすらも世の中の役に立てばいい」とは、君の信念だったのでしょう。
最期に君が見せたアントニオ猪木の姿は、生涯で最高の姿であり、猪木ならではの最高の発想でした。
※週刊ポスト2022年12月23日号