『ハトヤホテルの人選手権』には野田クリスタルなどが出演(提供)
「こういう番組のロケが入るっていうと面倒くさいわけじゃないですか。それでも、面白そうと思って受け入れてくださる広報の方がいる。それは嬉しいですよね。だから悪いようにはしませんよって気持ちです。『壁』で見たところってワクワクする面白い場所に見えるじゃないですか。そういう風に見てもらえるようにやっています。熱海では爆破をOKしてくれたり、アウトレットでも本来、噴水なんか入っちゃダメ。でもそれを許してくれる広報さんがいる。『マツコ会議』でマツコ(・デラックス)さんからもよく言われるんですけど、『テレビで当たり前のもの見たくない』って」
渋谷の肉横丁のような狭い場所でも、最初はこんなところでできるのかと思ったが、雑然とした場所のほうがポスターや飾りなど視覚情報が多く、芸人がイジって面白くなると橋本は語る。
「場所があるから出てくるアイデアってあるんですよね。最初から頭の中にあるもので企画すると、カセがあると思うんです」
遊覧船の上から芸人たちが遠くの岸でコントをやっているのを見るという回はあえてロングショットのみで、アップの映像は使わなかった。
「有吉さんがやっぱりスゴいんですけど、船から岸でなにかをやっている芸人が見えたときに『うわ、いた!』『じゃあ、○』って言うんですよ(笑)。その被写体との距離感を面白がる。人間って雑なほうが面白いし、面白そうなことをやっているってことがいいんですよね。よく撮れてるとか、ちゃんとしてるとかってたぶんどうでもいい。それを見たくてテレビを見てるわけじゃない。『有吉の壁』の技術さんってめちゃくちゃ優秀だから、キレイに撮ろうと思えば撮れるんですけど、一番面白い映り方っていうのを現場でディスカッションして撮ってくれるんです」
演出陣の準備力と有吉の判断力
先日放送された回では、SNOVA新横浜で雪上大喜利が行われた。パンツ一丁から始まり、いい回答で防寒グッズがもらえるというルールだ。
「新横浜という意外と近いところに雪の斜面がある。じゃあ、そこで何ができるだろうと色々考えるわけです。みんなで滑り台みたいなことはできないかとか、雪合戦はどうか、雪山でモノボケはできないかとか。それでロケハンしたら人工雪だから硬くて雪合戦は無理だとか斜面を滑り降りるのは危ないとかわかって、じゃあ大喜利がいいと。人の寒さって足から来るから素足だと耐えられないので長靴は履こうと(笑)。正解するとマフラーがもらえるとかくだらないじゃないですか。人間の最低限の喜び(笑)。以前はそういう番組もあったと思うんですけど、今はあまり見ない。
チョコレートプラネットも言ってましたけど、特番時代を思い出しましたね。そもそもチョコプラって本来もうそんなことをやらなくてもいいと思うんですけど、『壁』のためならってやってくれる。長田さんがマフラーを何本も獲得して、マフラー何本もいらねえだろって(笑)。そうやってテレビをはみ出そうってがんばってきた歴史が、今の『有吉の壁』にあるからこそできていることだなって改めて思いましたね」