洞爺湖サミットで市田さんはパネルに書をその場で書き上げた(写真提供/市田美容室)
「積極的に海外文化交流した都市は106か所に及び、世界各地で講演や着物ショーを披露しました。先生は頭の回転がとても速く、講演先では出席者の顔を見て、話す内容をその場でアレンジすることも多々ありました。
日本の歴史にしても、民族衣装に関するデータにしても、何も見ずにスラスラと話すので、頭の中に最新コンピューターが入っているようでしたね。
また、時間の使い方がとても上手で、常に先を考えて行動。私よりも20才年上なのに、休む間もなく働ける、とてもパワフルなかたです。
日頃から『伝統文化としても、伝統工芸としても、着物の素晴らしさを伝える語り手でいたい』とおっしゃっていましたから、当然100才まで仕事を続けられると思っていたんです。
最後の電話で先生は『あんたら、もう、頼むわな』とおっしゃっていましたが、これほど早いお別れが来るとは思っていませんでした。いまは少しずつ、先生の原稿や写真を整理しています。『先生の教えを守っていきますから、安心してください』と伝えたいですね」
市田美容室は、市田さんの姪が社長となり、いまも変わらず営業している。
【プロフィール】
木村節子さん/市田美容室(京都市中京区)で、市田ひろみさんの秘書として勤務して43年目。スケジュール管理のほか、着付けコーディネートの助手も務めた。
取材・文/山下和恵
※女性セブン2023年1月5・12日号
1993年に放送されたサントリー緑茶・京番茶のCM「警察編」。写真提供/サントリーホールディングス
市田ひろみさん