斉藤容疑者がかつて監督をつとめた映画の撮影風景(ブログより)
Aさんは「穏やかな印象だった」と振り返る。
「『元・振り込め詐欺犯』というようなデマではなく、前途も才能もある若者だったということをお伝えできたらと思います」
斉藤容疑者が当時製作していたという『ギフト(仮)』は、家具屋で働く青年がHIV陽性の告知を受けるところから始まる社会派映画だった。製作日誌的なブログがネット上にまだ残っており、そこには企画意図が以下のように説明されている。
〈断絶の間から何か見出したい、拾い上げたい、という思いがあった。白と黒、生と死、キャリアとノンキャリアなどの間からである。「建設的であろうとすること」が、この作品の最も重要なテーマである。群像劇という形態をとり、複数の登場人物達の日常を切り取り、紡いでいく〉
“生と死”をめぐり社会に真摯な問題提起をしようとしていた若きクリエイターは15年後、殺人事件の容疑者となった。
今後の取り調べの中で、動機などが明らかになっていくことだろう。