国内

《皇族のSNS発信は必要か?》識者3人が議論 英王室では「SNSが大きく人気に寄与」

右から皇室に詳しい王室ジャーナリストの多賀幹子氏、ニューヨーク州弁護士の山口真由氏、国際政治学者の三浦瑠麗氏

右から皇室に詳しい王室ジャーナリストの多賀幹子氏、ニューヨーク州弁護士の山口真由氏、国際政治学者の三浦瑠麗氏

 悠仁さまが筑波大学附属高校に入学し、愛子さまは成年皇族として公務を開始。佳子さまの結婚報道も飛び出すなど、昨年は皇室関連のニュースが世間を賑わせた。秋篠宮さまの言及で話題になった皇族のSNS発信について、皇室に詳しい王室ジャーナリストの多賀幹子氏、国際政治学者の三浦瑠麗氏、ニューヨーク州弁護士の山口真由氏に語ってもらった。【全3回の第1回】

 * * *
多賀:昨年11月の誕生日会見で、秋篠宮さまが皇族のSNS発信について、「あり得ること」と言及して話題になりました。

三浦:私はお勧めはしません。誹謗中傷が心配ですし、皇族が一般人のSNSに反応するとトラブルなども起きやすい。

山口:皇室は血縁の正統性や家的な制度が大事だと思うので、SNSを通じて「個」の部分がフィーチャーされることに違和感がありますね。

多賀:あら、私は大賛成です。皇室こそ公務や普段の様子を国民に向けて発信してほしい。一般的に国民の生活レベルが上がり、昔ほど皇室が憧れの世界ではなくなった今、皇室はもっと個人の魅力をアピールすべきです。

三浦:でも皇族が個人のSNSで発信したら、無難な内容でも見るに堪えないコメントがズラリと並びますよ。不特定多数から向けられる悪意に皇族方が耐えられるとは思えません。公式の皇室広報アカウントを作るくらいがいいでしょう。

多賀:英国はダイアナ妃が亡くなった後、エリザベス女王が「もっと開かれた王室にしなければ」とインターネットやSNSでの発信を始めました。今ではすっかり定着し、王室メンバーの誕生日などに記念写真が投稿されて、英王室の人気にSNSが大きく寄与しています。

山口:でも、例えば愛子さまと悠仁さまのSNSがあって、どちらかが圧倒的にフォロワー数が多かったら、国民人気の差が浮き彫りになってしまうのでは?

多賀:英国では定期的に王室の人気ランキングが話題になり、チャールズ国王よりウィリアム皇太子のほうが常に上ですけど、実際の活動に影響はありません。

三浦:愛子さまと悠仁さまの比較には皇位継承問題が絡むでしょうね。愛子さまはいわば「本家」の子ですが、女性なので皇位継承権がない。そんな状態でSNSを始めたら、判官贔屓のような形で愛子さまを支援する反応が出て、それが悠仁さまを傷つけるかもしれません。

多賀:なるほど。ただ国民の意見を先取りして、SNS発信を否定してしまうのは、どうでしょう。

三浦:逆に男系男子を尊重する人は愛子さまに「早く嫁にいけ」などと言い出す恐れもある。

山口:そもそも皇室と国民の支持は関係ないんですよね。欧州の王室は武力で土地を制して国民の支持を受ける「権力の象徴」ですが、日本の皇室は万世一系という「権威の象徴」で、皇室の正統性の根拠は国民の支持ではない。それでも私は成人を迎えられた愛子さまの立派な姿を見ると心が動くし、人間的な部分に思い入れを持ってしまう。

三浦:皇族の人間的な部分は国民の支持調達の観点から大きな意味を持っていると思います。だからこそ、慎重に守って差し上げるべきところもある。小室圭さん・眞子さん夫妻へのバッシングでわかるように、今の大衆社会は暴走しがちです。

(第2回に続く)

【プロフィール】
多賀幹子(たが・みきこ)/1949年生まれ、東京都出身。ジャーナリスト。お茶の水女子大学文教育学部卒業。英米に10年以上在住。英王室を始め、女性、教育、海外文化などをテーマに取材、執筆、講演。近著に『孤独は社会問題』(光文社新書)。

三浦瑠麗(みうら・るり)/1980年生まれ、神奈川県出身。国際政治学者。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。株式会社山猫総合研究所代表。近著に『日本の分断』(文春新書)。

山口真由(やまぐち・まゆ)/1983年生まれ、北海道出身。NY州弁護士。東京大学法学部卒。財務省勤務を経て、2009~2015年、弁護士として法律事務所に勤務。現在は信州大学特任教授。近著に『「ふつうの家族」にさようなら』(KADOKAWA)。

※週刊ポスト2023年1月13・20日号

関連記事

トピックス

無罪判決に涙を流した須藤早貴被告
《紀州のドン・ファン元妻に涙の無罪判決》「真摯に裁判を受けている感じがした」“米津玄師似”の男性裁判員が語った須藤早貴被告の印象 過去公判では被告を「質問攻め」
NEWSポストセブン
激痩せが心配されている高橋真麻(ブログより)
《元フジアナ・高橋真麻》「骨と皮だけ…」相次ぐ“激やせ報道”に所属事務所社長が回答「スーパー元気です」
NEWSポストセブン
Instagramにはツーショットが投稿されていた
《女優・中山美穂さんが芸人の浜田雅功にアドバイス求めた理由》ドラマ『もしも願いが叶うなら』プロデューサーが見た「台本3ページ長セリフ」の緊迫
NEWSポストセブン
トンボをはじめとした生物分野への興味関心が強いそうだ(2023年9月、東京・港区。撮影/JMPA)
《倍率3倍を勝ち抜いた》悠仁さま「合格」の背景に“筑波チーム” 推薦書類を作成した校長も筑波大出身、筑附高に大学教員が続々
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
【入浴中の不慮の事故、沈黙守るワイルド恋人】中山美穂さん、最後の交際相手は「9歳年下」「大好きな音楽活動でわかりあえる」一緒に立つはずだったビルボード
NEWSポストセブン
結婚披露宴での板野友美とヤクルト高橋奎二選手
板野友美&ヤクルト高橋奎二夫妻の結婚披露宴 村上宗隆選手や松本まりかなど豪華メンバーが大勢出席するも、AKB48“神7”は前田敦子のみ出席で再集結ならず
女性セブン
スポーツアナ時代の激闘の日々を振り返る(左から中井美穂アナ、関谷亜矢子アナ、安藤幸代アナ)
《中井美穂アナ×関谷亜矢子アナ×安藤幸代アナ》女性スポーツアナが振り返る“男性社会”での日々「素人っぽさがウケる時代」「カメラマンが私の頭を三脚代わりに…」
週刊ポスト
NBAロサンゼルス・レイカーズの試合を観戦した大谷翔平と真美子さん(NBA Japan公式Xより)
《大谷翔平がバスケ観戦デート》「話しやすい人だ…」真美子さん兄からも好印象 “LINEグループ”を活用して深まる交流
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
「服装がオードリー・ヘプバーンのパクリだ」尹錫悦大統領の美人妻・金建希氏の存在が政権のアキレス腱に 「韓国を整形の国だと広報するのか」との批判も
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《私には帰る場所がない》ライブ前の入浴中に突然...中山美穂さん(享年54)が母子家庭で過ごした知られざる幼少期「台所の砂糖を食べて空腹をしのいだ」
NEWSポストセブン
亡くなった小倉智昭さん(時事通信フォト)
《小倉智昭さん死去》「でも結婚できてよかった」溺愛した菊川怜の離婚を見届け天国へ、“芸能界の父”失い憔悴「もっと一緒にいて欲しかった」
NEWSポストセブン