ライフ

一般消費者向け「検査キット」のニーズ急増 正しい活用法は「補助ツール」として

究極の個人情報を提出するという側面もある「検査」

究極の個人情報を提出するという側面もある「検査」

 いまや郵便ポストに「検査キット」を投函することは日常茶飯事となっている。昨年11月28日には、厚生労働省が新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの感染を同時に調べる、抗原検査キットの市販を解禁するなど、健康管理に検査キットを利用する人が急増している。

「2020年4月の『新型コロナウイルス感染症緊急経済対策』で、政府が強制的に医療をオンライン化したことで大きく流れが変わりました。医療機関に行かなくても自宅で健康管理をする、ということに社会が慣れてきたんです」

 そう話すのは、オンライン医療相談・診療のプラットフォーム『おうち病院』を展開するアナムネ代表の菅原康之さん。菅原さんによれば、医療機関や自治体向けの「検査キット」は以前から多く流通していたが、コロナ禍のこの1~2年で一般消費者向けのニーズが急増したという。

「検査キットは話題ですが、自宅で健康管理をするという意識はまだまだ黎明期。病院はどうしようもなくなったら行くところ、ではなく、ふだんから自宅で医師とやりとりをして健康に過ごすことが、これからのヘルスケアの目指す先だと思います」(菅原さん・以下同)

その信頼性、おすすめの活用法は?

 現在流通している検査キットはバラエティー豊か。乳がんや大腸がん、胃がん、腸内環境、生活習慣病など、さまざまなリスクが、血液や尿、唾液でわかるという。気になるのは、その信頼性だ。

「5~6年前までは医師の間でも疑問視する声が多くありました。理由は、医療機関で行う採取の量に比べて、検査キットは少なすぎるため。それが徐々に『詳しい検査を病院で行うのを前提とするなら、ある程度の数値を測る補助ツールとしてはいい』と肯定的な意見が出るようになってきました」

 医療機関で行われる検査と違い、衛生環境や器具の扱い方、管理の仕方にもばらつきが生じる可能性は否めない。しかも常温でポスト投函するものだと自然の影響も受けやすくなるはず……。

「それはそうです。もちろん各社工夫はしているでしょうが、夏場の炎天下などでは変性しやすくなる。

 大切なのは、検査キット単体で全部わかると思わないことですね。理想をいえば、検査キットと健康診断や医師のアドバイスを組み合わせてほしい。医師がより精密に診断・治療をしやすくなりますから」

 注意すべきは、病名まで判明するとか、医療機関と同じレベルといったあおり文句があるものだという。

「ホームページを見て怪しいなと思ったらその感覚を信じてください。ネットで口コミを検索するのもいい」

 究極の個人情報を提出するのだから、できるだけ安心できるメーカーを見極めよう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《木漏れ日のなかベビーカーを押す海外生活》眞子さん、苦渋の決断の背景に“寂しい思いをしている”小室圭さん母・佳代さんの親心
NEWSポストセブン
原付で日本一周に挑戦した勝村悠里さん
《横浜国立大学卒の24歳女子が原付で日本一周に挑戦》「今夜泊めてもらえませんか?」PR交渉で移動…新卒入社→わずか1年で退職して“SNS配信旅”を決意
NEWSポストセブン
米インフルエンサー兼ラッパーのリル・テイ(Xより)
金髪ベビーフェイスの米インフルエンサー(18)が“一糸まとわぬ姿”公開で3時間で約1億5000万円の収益〈9時から5時まで働く女性は敗北者〉〈リルは金持ち、お前は泣き虫〉
NEWSポストセブン
「第42回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
《ヘビロテする赤ワンピ》佳子さまファッションに「国産メーカーの売り上げに貢献しています」専門家が指摘
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《総スカン》違法薬物疑惑で新浪剛史サントリー元会長が辞任 これまでの言動に容赦ない声「45歳定年制とか、労働者を苦しめる発言ばかり」「生活のあらゆるとこにでしゃばりまくっていた」
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《エプスタイン事件の“悪魔の館”内部写真が公開》「官能的な芸術品が壁にびっしり」「一室が歯科医院に改造されていた」10代少女らが被害に遭った異様な被害現場
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、インスタに投稿されたプライベート感の強い海水浴写真に注目集まる “いいね”は52万件以上 日赤での勤務をおろそかにすることなく公務に邁進
女性セブン
岐路に立たされている田久保眞紀・伊東市長(共同通信)
“田久保派”の元静岡県知事選候補者が証言する “あわや学歴詐称エピソード”「私も〈大卒〉と勝手に書かれた。それくらいアバウト」《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「少女を島に引き入れ売春斡旋した」悪名高い“ロリータ・エクスプレス”にトランプ大統領は乗ったのか《エプスタイン事件の被害者らが「独自の顧客リスト」作成を宣言》
NEWSポストセブン
東京地裁
“史上最悪の少年犯罪”「女子高生コンクリート詰め事件」逮捕されたカズキ(仮名)が語った信じがたい凌辱行為の全容「女性は恐怖のあまり、殴られるままだった」
NEWSポストセブン
「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路とは…(写真/イメージマート)
【1500万円が戻ってこない…】「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路「経歴自慢をする人々に囲まれ、次第に疲弊して…」
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン