国内

おせち、ケーキ、恵方巻 フードロスの現場と負のサイクル

おせち料理は売場でも、にぎやかに盛り付けるもの(イメージ)

おせち料理は売場でも、にぎやかに盛り付けるもの(イメージ)

 政府広告だけでなく、大企業のイメージCMなどで、まだ使えるものを捨てること、とくに消費期限切れの食品を廃棄することはやめましょう、と繰り返し聞かされてきた。だからといって、ある程度、廃棄することで成立してきた消費の仕組みを根こそぎ変えるのは難しい。俳人で著作家の日野百草氏が、クリスマス、おせち料理、恵方巻きと数珠つなぎに続く廃棄シーズンを迎えている食品小売の現場をレポートする。

 * * *
「うちはまだマシなほうですよ。大手さんだと売れ残りを何トンも廃棄するんですから」

 地元中心に数店舗を展開する小規模スーパー、副店長(50代)の目の前にはきらびやかなおせちの品々が並ぶ。そして、そのどれもが「半額」のシールが貼られている。

「半額でも売りきれませんね。正月過ぎて、普段から食べるものでもないでしょうし」

 数の子、栗きんとん、伊達巻、焼はまぐり、昆布巻き、田作り――確かに、昔はともかく現代人、とくに都市部で普段から食べるものでもない。あくまでお正月に限った「おせち料理」という季節商品だ。それも、おおよそ大晦日と三が日限定。まあ、食べ続けるにしても人日(七草、1月7日)までだろうか。
 
「調整はするんですけど、やっぱりこう、ぱーっと華やかな感じを出さないといけないんで、ぎっしり詰める感じになっちゃうんですよ。そうすると、こんな風に売れ残る」

 なるほど、商品を敷き詰めて、おせちの華やかさというか、購買意欲をそそるというわけか。しかし売れ残りばかりで損にならないのか。

「そりゃ売り切れれば嬉しいですけど無理です。でもお祝いですから値段も高く設定できます。原価率は30%ほどでしょうか」

 原価率はあくまで一般的な小売とのことでこのスーパーのことではないが、確かに原価率が30%ならある程度、売れ残っても経営上は問題ないのだろう。

「うちは予約以外で『おせちセット』は扱ってませんが、セットならもっと原価率は低い場合もあります。20%切るでしょうね」

おせちは原価率が低いので儲かるけれど

 冒頭の半額シールの貼られた見切り商品はあくまで具材をおせちに使うために調理した単品。何段にも積み重なるような「おせちセット」となると原価率はさらに下がるという。何万円もするおせちセットも。ものによっては20%程度の原価率ということか。

「一概には言えませんけど、おせちの原価率が低いのは確かです。値段を高く設定してもお祝いごとですからね、それなりにみなさん買ってくれますから」

関連記事

トピックス

復興状況を視察されるため、石川県をご訪問(2025年5月18日、撮影/JMPA)
《初の被災地ご訪問》天皇皇后両陛下を見て育った愛子さまが受け継がれた「被災地に心を寄せ続ける」  上皇ご夫妻から続く“膝をつきながら励ます姿”
NEWSポストセブン
子役としても活躍する長男・崇徳くんとの2ショット(事務所提供)
《山田まりやが明かした別居の真相》「紙切れの契約に縛られず、もっと自由でいられるようになるべき」40代で決断した“円満別居”、始めた「シングルマザー支援事業」
NEWSポストセブン
武蔵野陵を参拝された佳子さま(2025年5月、東京・八王子市。撮影/JMPA)
《ブラジルご訪問を前に》佳子さまが武蔵野陵をグレードレスでご参拝 「旅立ち」や「節目」に寄り添ってきた一着をお召しに 
NEWSポストセブン
前田健太と早穂夫人(共同通信社)
《私は帰国することになりました》前田健太投手が米国残留を決断…別居中の元女子アナ妻がインスタで明かしていた「夫婦関係」
NEWSポストセブン
オンラインカジノの件で書類送検されたオコエ瑠偉(左/時事通信フォト)と増田大輝
《巨人オンラインカジノ問題》オコエ瑠偉は二軍転落で増田大輝は一軍帯同…巨人OB広岡達朗氏は憤り「厳しい処分にしてもらいたかった。チーム事情など関係ない」
週刊ポスト
1990年代にグラビアアイドルとしてデビューし、タレント・山田まりや(事務所提供)
《山田まりやが明かした夫との別居》「息子のために、パパとママがお互い前向きでいられるように…」模索し続ける「新しい家族の形」
NEWSポストセブン
新体操「フェアリージャパン」に何があったのか(時事通信フォト)
《代表選手によるボイコット騒動の真相》新体操「フェアリージャパン」強化本部長がパワハラ指導で厳重注意 男性トレーナーによるセクハラ疑惑も
週刊ポスト
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【国立大に通う“リケジョ”も逮捕】「薬物入りクリームを塗られ…」小西木菜容疑者(21)が告訴した“驚愕の性パーティー” 〈レーサム創業者・田中剛容疑者、奥本美穂容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン
国技館
「溜席の着物美人」が相撲ブームで変わりゆく観戦風景をどう見るか語った 「贔屓力士の応援ではなく、勝った力士への拍手を」「相撲観戦には着物姿が一番相応しい」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【20歳の女子大生を15時間300万円で…】男1人に美女が複数…「レーサム」元会長の“薬漬けパーティ”の実態 ラグジュアリーホテルに呼び出され「裸になれ」 〈田中剛、奥本美穂両容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン
前田亜季と2歳年上の姉・前田愛
《日曜劇場『キャスター』出演》不惑を迎える“元チャイドル”前田亜季が姉・前田愛と「会う度にケンカ」の不仲だった過去
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 自民激震!太田房江・参院副幹事長の重大疑惑ほか
「週刊ポスト」本日発売! 自民激震!太田房江・参院副幹事長の重大疑惑ほか
NEWSポストセブン