朝乃山のタオルには「品切れ」の文字が
四つ相撲が取れる力士に出世してほしい
売店のリストには在庫がなくなった時点で〈品切れ〉の札が貼られ、これが人気のバロメーターにもなっている。55人のうち売り切れになっているのは王鵬と朝乃山の2人だけだ。平幕の王鵬は初日から黒星が並び、13日目までに2勝11敗と大苦戦している。ある若手親方はこう話す。
「相撲ファンは判官びいきのところがあるので、大鵬さんの孫が苦戦しているので王鵬を応援してやろうということではないか。一方の朝乃山は少し違って、早く幕内上位に戻ってほしいというファンの期待の表われでしょう。
というのも、幕内上位で優勝争いをしているのは押し相撲の力士ばかり。張り手や突っ張りの激しい攻防が続き、決まり手は押し出しや突き出しばかりになっている。連日流血している貴景勝が象徴的な存在ですが、四つに組んだ相撲がほとんどない。だからこそ、右四つに食い止め、投げや寄り切りで勝つ取り口の朝乃山への期待が大きくなるのではないか」
人気大関だった朝乃山だけに、応援タオルだけでなくサイン色紙、キーホルダー、ハンドタオル、豆うちわ、バッジなどが並んでいるが、若隆景や宇良といった人気の幕内力士にも負けない好調な売れ行きだという。相撲担当記者が言う。
「125年ぶりという1横綱1大関の変則番付に協会は危機感を募らせている。1場所でも早く横綱や大関を誕生させたいが、ひとり大関の貴景勝が安定感を欠き、関脇の若隆景は勝ち越すのが精一杯。同じく関脇の豊昇龍や高安も、ガチンコ相撲の宿命であるケガでモタついている。協会も朝乃山の復活に期待せざるを得ないのではないか。今頃になって6場所出場停止の処分は重すぎたという声が出ているぐらいです」
期待に応えて朝乃山が主役に返り咲くことはあるのか。