優勝を経験した力士でも協会に残れない?
時津風部屋の由緒ある四股名を継承した元前頭・豊山も右上腕二頭筋腱断裂のために引退したが、継承する年寄株がなく廃業となった。前出・若手親方が続ける
「幕内最高齢の38歳の玉鷲は優勝経験もあって、協会に残るつもりで帰化の手続きをしているが、年寄株が入手できないようだ。師匠の片男波親方(元関脇・玉春日)は51歳と若いため、なかなか席は空かない。現役として土俵を続けるしかない。
同じく優勝経験のある徳勝龍は36歳だが、現在は幕下まで番付を落としている。十両に復帰できれば現役続行だが、いつ引退してもおかしくない。所属する木瀬部屋では先代の井筒親方(元関脇・逆鉾)の長女と結婚した志摩ノ海がいずれは『井筒』を継承するが、志摩ノ海の引退までの間、徳勝龍が『井筒』を借りて残る案もあるようだ。そうした椅子取りゲームのなか、豊ノ島が『井筒』の次の株を見つけられず廃業したという面もある。ただ、志摩ノ海も十両で勝ち越しが厳しいような状況にあり、徳勝龍が『井筒』を借りてもすぐに返さなくてはならない可能性もある」
複雑怪奇な椅子取りゲームだが、本来、2014年の公益財団法人化の際に年寄株の貸し借りは禁止されたはず。こんな状況を放置する相撲協会は、何か手を打つ気があるのだろうか。
※週刊ポスト2023年2月3日号