大久保公園から1ブロックの歌舞伎町交番前で、2022年12月、年末年始特別警戒で、繁華街・歌舞伎町の巡視に臨む小島裕史警視総監(左)(時事通信フォト)

大久保公園から1ブロックの歌舞伎町交番前で、2022年12月、年末年始特別警戒で、繁華街・歌舞伎町の巡視に臨む小島裕史警視総監(左)(時事通信フォト)

 主に未成年の問題がクローズアップされたトー横などと比較すれば、大久保公園周辺は当事者の持つ背景がかなり異なるが、他に生きるための選択肢がなかなか見つからない人たちという意味では、属性は共通しているだろう。それを治安のためと称して単純に場所から追い出したとしたら、藁にもすがる思いでたどり着いた場所を奪われ、彼女たちはどうやって生きてゆけばよいのか。

 メディアやSNSが、興味本位で「タブー」な場所を取材したり撮影することはあるだろう。しかし、それが誰かの人権を踏みにじったり、半永久的に誰かの名誉を傷つけ続ける恐れがあるなら、注目を集めるから、PVをとれるからと安易に公開すべきではないだろう。

 例えばネット上には、関西のある風俗街を撮影した映像などもアップされていて、大変な再生回数を記録している。街歩き動画の一種ではあるのだが、そこに映り込んだ女性たちが撮影に同意したとは考えられない構図の撮影ばかりだ。その街も昔から知る人ぞ知る地域であって、働く人たちもおおっぴらに仕事を吹聴することはない。だから撮影はもちろん、ネットで拡散されることは避けたいと思っているだろうことは容易に想像がつく。

 公開されるのが嫌なら、動画SNS運営に異議申し立てして、すぐに非公開などの措置をとればよいと思うかもしれない。だが、広く世間に存在を認識されたくない彼女たちはおそらく、何もアクションを起こさない。声をあげない弱者なのだが、それを自己責任だと切って捨てるのには違和感がある。

 また、最近では、ホームレスなど社会的に弱い立場の人たちをからかったりする動画も多く拡散されていて、SNSユーザー達が面白おかしく取りあげる動きもある。街歩き動画をめぐる状況はさらに悪化している。

 声をあげない、あげられない人たちを相手に、ネットで共有されているはずの配慮を無視してよいという態度を取り続ける配信者たちに、行動を改めさせるにはどうすべきなのか。過激化の先に、大きな悲劇が待っているような気がするのは、筆者だけではないはずだ。

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