国内

街歩き動画が人気だが、一部の過激な配信者に追い詰められる人たちもいる

2021年9月、夜の新宿区立大久保公園周辺。客を待っていた女性と付き添う私服捜査員(時事通信フォト)

2021年9月、夜の新宿区立大久保公園周辺。客を待っていた女性と付き添う私服捜査員(時事通信フォト)

 スマートフォンによって、いつでも撮影することが当たり前となり、SNSの普及によって、誰でも発信することに抵抗がなくなった。一方で、写り込んだ見知らぬ人にはモザイクをかけることがマナーとして共有されるなど、「知られない権利」「拡散されない権利」も広まっているはずだ。ところが、PVが稼げるとなると、SNS利用によって育成されたはずの”良識”はどこかへ吹き飛ぶらしい。ライターの森鷹久氏が、SNSで街の様子を撮影した「街歩き映像」が人気を集める一方で、新宿区立大久保公園をめぐる、バズりたい人たちによって起こされた波紋についてレポートする。

 * * *
 日本一の大繁華街、東京・新宿歌舞伎町にある公園が今、SNS上で話題になっている。

「歌舞伎町の奥に大久保公園というところがあって、その周りにいわゆる”立ちんぼ”といわれる若い女性の私娼がいると評判になっています。立ちんぼ女性にインタビューしたり、立ちんぼ女性と男性がホテルに入ってゆくところを撮影した映像がアップされていて、日本にもこんなところがあったのかと、ネットユーザーはとても驚いているようです」

 こう話すのは、自身で撮影した「街歩き映像」をSNSや動画サイトにアップし続けている遠藤寛太さん(仮名・20代)。新宿や渋谷の街歩き映像はYouTubeでも何十万回と再生される人気コンテンツで、遠藤さんも実は話題の公園にも撮影に行ったこともあった。だが、すでに買春目的の男がウロウロしていて、さらに過激系ユーチューバーらしき人までやってきていたことから、トラブルを防ぐために撮影は断念したという。

「行ってみてわかりましたが、そこにいた女性たちはみな、当然カメラを嫌がっています。それをユーチューバーや興味本位で訪れた一般人たちが構わず撮影する。中には、交渉が成立した男女を追い回したり、無断で女の子に声をかけカメラを向けたりする人たちもいます。さすがに気の毒に思い、撮影はできませんでした」(遠藤さん)

 無許可での撮影はトラブルのもとだし、何より被写体が嫌がるものは撮影が成立しないと考えるのが、当たり前の感覚だ。公共の利益にかなうような撮影であれば、カメラを向ける理由が理解できなくもないが、相手は単なる一般人であり、法を犯したとはっきりしているわけでもない。確かに、世間から褒められないようなことをしているかもしれないが、それを一方的に断罪するかの如く、不特定多数に向けて拡散する理由にはならないだろう。

ネットのほうが怖い。路上なら、いきなり殴られる心配がない

 1950年6月に公園として整備され、1951年に新宿区立となった大久保公園は、1990年頃から住みついた路上生活者や、深夜から早朝にかけて騒ぐ若者や外国人による不適切な使用が地域住民から問題視されていた。災害時の緊急避難を考えると区立公園は24時間開放が原則だが、トラブルが頻発するため2005年にはいったん全面閉鎖された。2007年からは夜間閉鎖となり、それは現在も続いている。閉鎖や夜間閉鎖の間も消えなかった、夜になるとフェンスで囲まれた大久保公園をぐるりと囲むように一定間隔をあけて立つ人たちは、そのときどきによって様々な背景を持っていた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

永野芽郁の近影が目撃された(2025年10月)
《プラダのデニムパンツでお揃いコーデ》「男性のほうがウマが合う」永野芽郁が和風パスタ店でじゃれあった“イケメン元マネージャー”と深い信頼関係を築いたワケ
NEWSポストセブン
多くの外国人観光客などが渋谷のハロウィンを楽しんだ
《渋谷ハロウィン2025》「大麻の匂いがして……」土砂降り&厳戒態勢で“地下”や“クラブ”がホットスポット化、大通りは“ボヤ騒ぎ”で一時騒然
NEWSポストセブン
声優高槻かなこ。舞台や歌唱、配信など多岐にわたる活躍を見せる
【独占告白】声優・高槻かなこが語る「インド人との国際結婚」の真相 SNS上での「デマ情報拡散」や見知らぬ“足跡”に恐怖
NEWSポストセブン
人気キャラが出現するなど盛り上がりを見せたが、消防車が出動の場面も
渋谷のクラブで「いつでも女の子に(クスリ)混ぜますよ」と…警察の本気警備に“センター街離れ”で路上からクラブへ《渋谷ハロウィン2025ルポ》
NEWSポストセブン
クマによる被害
「走って逃げたら追い越され、正面から顔を…」「頭の肉が裂け頭蓋骨が見えた」北秋田市でクマに襲われた男性(68)が明かした被害の一部始終《考え方を変えないと被害は増える》
NEWSポストセブン
園遊会に出席された愛子さまと佳子さま(時事通信フォト/JMPA)
「ルール違反では?」と危惧する声も…愛子さまと佳子さまの“赤色セットアップ”が物議、皇室ジャーナリストが語る“お召し物の色ルール”実情
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
「日本ではあまりパートナーは目立たない方がいい」高市早苗総理の夫婦の在り方、夫・山本拓氏は“ステルス旦那”発言 「帰ってきたら掃除をして入浴介助」総理が担う介護の壮絶な状況 
女性セブン
9月に開催した“全英バスツアー”の舞台裏を公開(インスタグラムより)
「車内で謎の上下運動」「大きく舌を出してストローを」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサーが公開した映像に意味深シーン
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(クマの画像はサンプルです/2023年秋田県でクマに襲われ負傷した男性)
《コォーってすごい声を出して頭をかじってくる》住宅地に出没するツキノワグマの恐怖「顔面を集中的に狙う」「1日6人を無差別に襲撃」熊の“おとなしくて怖がり”説はすでに崩壊
NEWSポストセブン
「原点回帰」しつつある中川安奈・フリーアナ(本人のInstagramより)
《腰を突き出すトレーニング動画も…》中川安奈アナ、原点回帰の“けしからんインスタ投稿”で復活気配、NHK退社後の活躍のカギを握る“ラテン系のオープンなノリ”
NEWSポストセブン
真美子さんが完走した「母としてのシーズン」
《真美子さんの献身》「愛車で大谷翔平を送迎」奥様会でもお酒を断り…愛娘の子育てと夫のサポートを完遂した「母としての配慮」
NEWSポストセブン
11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)千葉県の工場でアルバイトをしていた
「肌が綺麗で、年齢より若く見える子」ホテルで交際相手の11歳年下ネパール留学生を殺害した浅香真美容疑者(32)は実家住みで夜勤アルバイト「元公務員の父と温厚な母と立派な家」
NEWSポストセブン