オレオレ詐欺から“転職”か
この窃盗グループの素性について、小川氏は、暴力団に所属せずに常習的に犯罪を行なう「半グレ」の関与を指摘する。
「指示役がいて、実行犯をSNSで集めるという手口がオレオレ詐欺をはじめとした特殊詐欺と酷似している。最近は特殊詐欺の手口が周知され、口座から一度に下ろせる金額も制限されたため、手荒なやり口に変わってきたと見ています」
特殊詐欺を実行する部隊を組織していたのが半グレで、今回の一連の強盗事件も似た組織構造だという。半グレの実態に詳しい作家の草下シンヤ氏が語る。
「強盗に入る実行犯の『兵隊』、兵隊をスカウトする『リクルーター』、強奪した金を運ぶ『バイク』、兵隊に具体的な指示をする『指示役』などと役割が細かく分けられています。また、強盗のことを『叩き』と呼んでいます。半グレグループによる強盗は、10年以上前から起きていましたが、犯行の対象は、詐欺で稼いだ人間や、人に恨みを買う仕事で稼いだ資産家などが対象でした。それがここ数年で一般人まで狙われるようになっている」
では、彼らはどのようにしてターゲットを決めるのか。その選定には、裏社会で売買されている“名簿”を使うという。
「いわゆる“裏の名簿屋”から詐欺に引っかかりやすい高齢者や資産家のリストを購入してターゲットを決めている。目星をつけた家に訪問販売員やリフォーム業者などを装って訪ね、資産状況や家族構成を調べ、精度を上げてから犯行に及びます。少数のグループもあれば、訪問会社ぐるみのケースもある。また、ターゲットの身内から寄せられた情報をもとに、犯行に及ぶことも多い」(草下氏)