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【検証・令和の埋蔵金30兆円】財源となりうる「国債整理基金」の存在、小泉政権も活用した

元内閣官房参与の高橋洋一・嘉悦大学教授が「埋蔵金30兆円」について解説(写真/共同通信社)

元内閣官房参与の高橋洋一・嘉悦大学教授が「埋蔵金30兆円」について解説(写真/共同通信社)

 岸田文雄・首相の増税策は、とどのつまり“財源が足りないから国民は我慢してくれ”ということだ。本当に財源はないのか。【前後編の前編。後編を読む

 実は、国の会計には国民に知らされていない“隠し財源”がある。特別会計の剰余金や積立金など、役所がこっそり貯め込んでいる資金で、「霞が関の埋蔵金」とも呼ばれる。金額は30兆円にのぼるという。

 それを指摘したのは元内閣官房参与の高橋洋一・嘉悦大学教授だ。元財務官僚で理財局の国債課課長補佐や資金企画室長などを歴任した財政のプロである。高橋氏によると、“令和の埋蔵金”の1つは、国の「国債整理基金」の仕組みに隠されている。

小泉政権では13.8兆円を活用

“国債の企業版”である社債を企業が発行すれば、毎年利払いをし、期限を迎えた時に余裕があれば償還し、余裕がなければ借り換える。国債も基本的にその仕組みだ。

 だが、日本政府は国債の利払いの他に、一般会計から毎年16兆円ほどの国債の償還費用(債務償還費)をいったん「国債整理基金」に積み立てるややこしい仕組みをとっている。その1年分の16兆円は他の財源に回せるのだという。高橋氏が語る。

「これは国の会計上、右の財布から左の財布に移し替えているだけだから、1回繰り入れなくても他の財源に使えます。実際に、債務償還費を計上しなかった年が過去11回もある。

 地方にも地方債の債務償還費の基金と、満期一括償還に備えた積立金が10兆円程度ある。償還ルールを変更すれば地方にも財政余裕が出る。国と地方を合わせると30兆円ぐらいの財源になります。

 岸田内閣は昨年末に防衛費を5年間で43兆円にほぼ倍増する方針を決め、財源が足りない分は増税すると言っているが、私は国の埋蔵金を防衛強化資金の財源にあてることを提唱しています。カネに色はついていないので、様々な工夫ができる」

 高橋氏は国の会計から財源を見つけ出す“埋蔵金ハンター”として知られ、小泉政権時代に政府の巨額の埋蔵金を発掘した実績がある。

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