「僕らも突っ走っていた」
「B21スペシャル」がテレビ番組のレギュラーをたくさんもっていた頃はバブルの時期。時代の疾走感と重なって、僕らも突っ走っていました。やんちゃやって、やり過ぎてヒロミが大やけどを負って入院したこともあったわけですが……。テレビの収録が終わった後、リハーサル室や楽屋を借りて地道にコントの練習もしていたんですよ。バラエティのノリと、コントのネタを週1本しっかり作って披露するのは、同じテンションではやれないので両立はきつかったですけどね。
当時は若かったので、知らないことが多すぎました。今の経験則をもって、あの頃に戻れたら面白いでしょうね。振り返ると、出会った人たちや、ひとつひとつの仕事を大事にすれば良かったな、と思います。
僕ら3人は同じ事務所に所属していたんだけど、2004年、別々の事務所になったんです。人見知りでツテもなかった僕はフリーになったり、別の事務所に拾ってもらったりしてなんとかやってきました。フリーだったときはスケジュール管理からギャラの交渉まで、全部自分でやらなければいけないので大変でした。
ヒロミの方は、その後、10年ぐらい芸能界から離れていたんですよね。その頃のことは、実はよく知らないんですよね。加圧スタジオをやってるとかは知っていたんですけど。デビちゃんは俳優やりながらラーメン屋さんで成功して、今は神奈川県に移りましたよね。
今の若い子は僕らがコントやってたことも知らないでしょうね。「何? B21スペシャルって」って思われてるかもしれない(笑)。あっ、でもサインは今でも「B21スペシャル ミスターちん」って書きます(笑)。
今は一番やりたかったお芝居をやらせてもらって、治療院も5年目を迎えることができ、家庭もあって子どもが2人いる。どれも楽しくて順調で、ちょうどいいバランスなんですよ。周りの人たちのおかげ。最近、そう強く思うようになって……何か悟り開いちゃったみたいで、ヤバイのかな、オレ(笑)。
(了。前編から読む)
取材・文/中野裕子(ジャーナリスト) 写真/山口比佐夫