「やせる油」はあるのか(写真/PIXTA)
本当に使える「やせる油」はどれ?
えごま油や亜麻仁油はオメガ3系の油として知られており、DHAやEPAは魚、特に青魚に多く含まれる油だ。ダイエットに役立つ油は、意外にも多い。その中でも、ダイエット効果のほか、使いやすさやおいしさなども総合すると、1位に輝くのは「オリーブオイル」だと、井上さんは言う。
「オリーブオイルは『オレイン酸』を主成分とする『オメガ9系』の油です。オレイン酸は善玉コレステロール値を適正に保つ働きがあり、オメガ9系の油を摂取することで体重が減るという研究結果もある。
オリーブオイルは、サプリメントなどの単体で摂取してもダイエット効果は認められません。ところが『地中海式ダイエット』のように、野菜や魚介類などと一緒に摂ることで脂質の吸収が抑えられ、体重が減少するのではないかと考えられます」(井上さん・以下同)
オリーブオイルは、手に入れやすく、料理に使いやすいだけでなく、変質しにくいという大きなメリットもある。
「どんなに良質な油も、酸化したら台無し。過酸化脂質という物質に変化して、肥満の原因になります。ところが、オメガ9系の油は酸化しにくく、熱に強い。炒め物や揚げ物などに使っても、ダイエットをサポートする力が失われません」
ちなみに、良質なオリーブオイルの緑色は、抗酸化物質であるフラボノイドなどのポリフェノールによるもの。質のいいオリーブオイルは、免疫力を上げる効果も期待できる。菜種油(キャノーラ油)や米油もオリーブオイルと同じく、オメガ9系の油だ。
「菜種油は、かつてはサラダ油と同じ『オメガ6系』の油でした。オメガ6系の油は摂りすぎると動脈硬化や高血圧のリスクが高まるので、できるだけ控えた方がいい。ですが、いまの菜種油は改良され、成分の6割がオレイン酸(オメガ9系)になっています」
次にダイエットに取り入れやすいのは、えごま油や亜麻仁油といった、オメガ3系の油だ。
「オメガ3系の油の主成分は『α-リノレン酸』で、摂取すると体の“代謝のスイッチ”を入れてくれます。α-リノレン酸は体内でつくることができない必須脂肪酸のため、食事から摂る必要がある。同じくオメガ3系のしそ油やカメリナオイル、ウオールナッツ(くるみ)オイルも同様の効果が期待できます。ただし、オメガ3系の油は熱に弱く酸化しやすいため、生で摂るのが基本です」(伊達さん)