国内

「ルフィ強盗団」のルーツ「ススキノ闇社会」 カタギがヤクザの領域に飛び込んでくる善と悪のグレー・ゾーン

「ススキノ闇社会」の全容にせまる(時事通信フォト)

ススキノ界隈の「闇」の全容にせまる(時事通信フォト)

 フィリピンから容疑者4人が強制送還され、捜査が進む「ルフィ強盗団」事件。その核心に迫るためには、彼らを生んだルーツとなる場所を深掘りしなければならない。フリーライター・鈴木智彦がレポートする。

 * * *

「盗品のロレックスを買わないか、という話が回ってきたんだ。あの強盗でぶんどった品だ。買わないでよかった」

 北海道の暴力団関係者に売買を持ちかけたのはナマコの密漁団だったという。話の出元を辿ると密漁事犯で逮捕歴のある暴力団員だったそうだ。

 暴力団は悪の恒星である。その周囲を覚醒剤密売団、車両窃盗団、オレオレ詐欺グループ、密漁団、ぼったくりバー業者、悪質キャッチ集団等々、暴力団の引力に引き寄せられた悪人たちが周回している。ワルどもは暴力団を媒介にネットワークを形成している。

「保証書なんかがないんで、10分の1の値段だったな。警視庁の刑事もこの件について事情を聞きに来た。帰り際、やんわりと『道警さんには言わないでください』と言うので、『話が抜けるもんな』と鎌かけたら顔をしかめていた。蚊帳の外に置かれた道警は、必死になって関係者を逮捕しているが、ピリつくのはこれからだ。(特定危険指定暴力団の)工藤會壊滅作戦を実行した時のように、3月の人事異動で全国のうるさ型が配置されるらしい。警察の北海道シフトというわけだ」

 ならば札幌の歓楽街であるススキノの猥雑も、ようやく浄化に向かうのかもしれない。

 ススキノはいまだゾーニング(区分け)のないネオン街だ。ひとつのビルで欲望のすべてを消化できるという特色がある。たらふくうまい飯を食って、しこたま酔っ払い、ソープランドでめいっぱい放出する。

 ゾーニングされていないので、ススキノは街全体が善と悪との汽水域、グレー・ゾーンになっている。令和の現在でも、通常の都市ならありえない手軽さで、カタギがヤクザの領域に飛び込んでくる。実際、ススキノなら堕ちる意識を持たずに裏街道に入り込めるはずだ。この汽水域は、フィリピンの刑務所から連続強盗事件を指揮した極悪犯罪者を生み出すバックボーンになったろう。

 裏街道は、案外、居心地がいい。暴力団も困窮者に寄り添い、時に救いの手を差し伸べたりする。口が裂けても暴力団を義侠などとは言いたくないが、土壇場に追い詰められた際は助けてくれる人がいい人だ。救いの手が暴力団や犯罪者のものか思い悩む余裕などない。

関連記事

トピックス

“ATSUSHIものまね芸人”として活動するRYO
【渦中のRYOを直撃】「売名じゃない」橋幸夫さん通夜参列で炎上の“ATSUSHIものまね芸人”が明かした「反省」と「今後」…「100:0で僕が悪者になっている」との弁も
NEWSポストセブン
滋賀県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月7日、撮影/JMPA)
《再販後完売》佳子さま、ブラジルで着用された5万9400円ワンピをお召しに エレガントな絵柄に優しいカラーで”交流”にぴったりな一着
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(共同通信)
《やる気スイッチ講師がわいせつ再逮捕》元同僚が証言、石田親一容疑者が10年前から見せていた“事件の兆候”「お気に入りの女子生徒と連絡先を交換」「担当は女子ばかり」
NEWSポストセブン
真美子さんと大谷が“即帰宅”した理由とは
《ベイビーを連れて観戦》「同僚も驚く即帰宅」真美子さんが奥様会の“お祝い写真”に映らなかった理由…大谷翔平が見計らう“愛娘お披露目のタイミング”
NEWSポストセブン
渡邊渚さんが、「選挙」と「投票」について綴った(撮影/松田忠雄)
渡邊渚さんが綴る“今の政治への思い”「もし支持する政党がパートナーと全く違ったら……」
NEWSポストセブン
子宮体がんだったことを明かしたタレントの山瀬まみ
《山瀬まみが7ヶ月間のリハビリ生活》休養前に目撃した“スタッフに荷物を手伝われるホッソリ姿”…がん手術後に脳梗塞発症でICUに
NEWSポストセブン
自民党屈指の資金力を誇る小泉進次郎氏(時事通信フォト)
《小泉進次郎氏の自民党屈指の資金力》政治献金は少なくても“パーティー”で資金集め パーティーによる総収入は3年間で2億円、利益率は約79%
週刊ポスト
イベントキャンセルが続く米倉涼子
《新情報》イベントのドタキャン続く米倉涼子を支えた恋人の外国人ダンサー、日本を出国して“諸事情により帰国が延期”…国内でのレッスンも急きょキャンセル 知人は「少しでもそばにいてあげて」
NEWSポストセブン
小川晶市長“ホテル通い詰め”騒動はどう決着をつけるのか(左/時事通信フォト)
《前橋・小川市長 は“生粋のお祭り女”》激しい暴れ獅子にアツくなり、だんベぇ踊りで鳴子を打ち…ラブホ通い騒動で市の一大行事「前橋まつり」を無念の欠席か《市民に広がる動揺》
NEWSポストセブン
歴史ある慶應ボート部が無期限で活動休止になったことがわかった(右・Instagramより)
《慶應体育会ボート部が無期限活動休止に》部員に浮上した性行為盗撮疑惑、ヘッドフォン盗難、居酒屋で泥酔大暴れも… ボート部関係者は「風紀は乱れに乱れていた」と証言
NEWSポストセブン
元大関・貴景勝
断髪式で注目の元大関・貴景勝 「湊川部屋」新設に向けて“3つの属性の弟子”が混在する複雑事情 稽古場付きの自宅の隣になぜか伊勢ヶ濱部屋の住居が引っ越してくる奇妙な状況も
NEWSポストセブン
京都を訪問された天皇皇后両陛下(2025年10月4日、撮影/JMPA)
《一枚で雰囲気がガラリ》「目を奪われる」皇后雅子さまの花柄スカーフが話題に 植物園にぴったりの装い
NEWSポストセブン