ワクチンを打つ岸田文雄・首相(時事通信フォト)

ワクチンを打つ岸田文雄・首相(時事通信フォト)

イタチごっこは終わる

 昭和大学医学部客員教授(感染症学)の二木芳人氏もこう話す。

「効果のあるワクチンに対してウイルスはその免疫を回避すべく変異をしていく。ワクチンを打つほどウイルスの変異を助長する点は否定できず、感染予防効果が薄れていく可能性はありますが、重症化率や死亡率の低下という観点では2価ワクチンの追加接種は有効です。感染率だけに目を向けてワクチンの是非を論じるべきではありません。

 また、現在使われているワクチンは特定の遺伝子情報を投与するmRNA型で、比較的早く新たな変異株に対応させることができる。目下、世界中の研究機関がどんな変異型にも効果がある『ユニバーサルワクチン』の開発に取り組んでおり、これが実現すれば変異株とワクチンのイタチごっこも終わります」

 一方、医療ガバナンス研究所の上昌広氏は「2価ワクチンは新たな変異株にも有効だろう」としつつ、こう話す。

「接種対象はもう基礎疾患のある人や高齢者を中心にすべきという意見は出てくるでしょう。健康な現役世代は十分な免疫があると言われており、国を挙げて全世代に接種を推奨する時期は過ぎたという声があります。

 ワクチンは稀ですが重篤な副反応もあり、命を落とすケースも考えられる。子供が打つべきかどうかも意見が分かれています。6回目、7回目と接種が続くなかで、“誰を対象にするのか”という議論を深めていく時期に来たのだと思います」

 英オックスフォード大学の公開する「Our World in Data」によれば、人口100人あたりのワクチン接種回数は日本が307.78回で世界1位(2月20日現在)。今後も議論を続けながら、ワクチンと付き合っていくことになりそうだ。勝田氏が語る。

「そのうち、何回目という言い方もなくなるのではないでしょうか。インフルエンザのワクチン接種を50回目、60回目と数えている人はいません。コロナワクチンも毎年1回定期的な接種シーズンが来て、希望する人が淡々と接種する。日常の一コマになっていくのだと思います」

“ウィズワクチン”の未来が近づいている。

※週刊ポスト2023年3月10・17日号

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