今年初場所の売店では、朝乃山のタオルに「品切れ」の文字が
三役力士を圧倒できる実力だが…
これで朝乃山の「年内の大関復帰」がなくなったことだけはたしかだ。場所前、朝乃山は高砂部屋に出稽古に来た若隆景に4勝0敗、霧馬山に8勝4敗と三役力士を圧倒。三役も含めが関取衆7人とは26番取って20勝6敗という数字を残し、幕内に復帰すれば優勝争いを引っ張るのではないかとも言われていた。
2022年7月場所で幕尻優勝した照ノ富士は、翌9月場所に東前頭筆頭に昇進。11月場所で小結(13勝2敗)、1月場所で関脇(11勝4敗)、3月場所で関脇(12勝3敗=優勝)と三役で36勝を挙げて大関に昇進。再入幕から5場所を要した。若手親方はこう言う。
「基本的に、幕内下位で優勝しても三役になれない。大関昇進には“三役で3場所33勝”が目安といわれるため、朝乃山が再入幕で優勝したとしても、大関昇進には5場所かかる計算となるわけです。次の春場所で十両にとどまる以上は、最短コースと囁かれていた“年内での大関昇進”はできなくなった」
思わぬかたちで“優勝候補”が十両にとどまることとなり、先場所の優勝で綱取りがかかる大関・貴景勝には追い風になるということになるのだろうか。十両の朝乃山にばかり期待が集まるのは、上位陣の不安定な相撲への不満の裏返しでもある。春場所の土俵が、そうした不満を払拭する内容となってもらいたい。