清原を「讃えたい」と語った水野社長(右)
その時は大雨で視界も悪く、風も強い状況だった。ほかの車のようにそのまま通過することもできたが、水野社長は「この悪天候のなかでは二次被害が起こるかもしれない」と咄嗟に思ったのだという。
「僕が『これは危ないよ!』と言うと、清原さんも『行くしかないだろ!』『助けに行くぞ』と言って外に飛び出しました。男性が痛がっていたので、まずはバイクの下敷きになっている男性を清原さんと一緒に引き上げて、バイクを道路の端に寄せました。車に乗った女性は呆然としたままだったので、僕は『運転して端に寄せるから、一瞬降りて』と言って女性の車を路肩に寄せました。清原さんは男性を背負う形で運び、女性の車のハッチバックを開けて座らせました。まずはなんとか痛がる男性を雨宿りさせようと考えたのですが、それは我ながら素早く対応できたと思います」(水野社長)
この時、救助をしながら水野社長の頭のなかには別の“危惧”があった。道ゆく人のなかには、スマホで写真を撮っている人がいる。彼らがこの状況を見て、「清原が事故を起こした」と根も葉もないことを書き込むのではないか、という心配だった。
「それこそSNSの全盛時代ですから、事実を間違って捉えられて拡散される恐れもあった。ですが、そんなことは少しも気にせず救助にあたった清原さんの勇気は、友人として讃えたいと思いますね」(水野社長)
その後まもなく現場に到着した救急車やパトカーに引き継いだため、救助にあたった時間は10分ほどだったという。翌日、沖縄県警から水野社長の元に「感謝状を送りたい」と連絡があったが、表彰は断わったという。それから1年後、再び沖縄キャンプに訪れると、その情報をどこからからか聞きつけた県警から再び、表彰の話を受けたという。
「電話があって『1年前の件で感謝状を送りたい』と言われました。光栄なことでもあったので感謝状はありがたくいただくことにしまして、一方で交通安全への取り組みを進めていただきたいという思いを込めて、交通安全協会に愛知県の会社代表として30万円の寄付をしました」(水野社長)