ライフ

健康を害する恐れもあるサプリメント 特に注意すべきは「やせる」の効果をうたう健康食品

(写真/PIXTA)

「やせる」とうたったサプリに注意(写真/PIXTA)

《食生活は、主食・主菜・副菜を基本に、食事のバランスを。》──これはサプリメントや健康食品の注意書きだが、つまるところ、「これだけでは、健康にはなれません」ということだ。それどころか、過信してのみ続けていると、健康を害する恐れもあるという。

 たとえ用量を守って適量をのんでいたとしても、サプリが体内で毒に変わる危険な例もある。その1つが、バストアップ効果があるとされていたプエラリア・ミリフィカによる健康被害だ。若い女性を中心に消化器障害や皮膚障害などが数百件以上報告され、事態を重く見た厚労省は「健康被害の発生を未然に防止する見地から特別の注意を必要とする成分等を含む食品」に指定した。

 最大で大豆の1万倍もの強いエストロゲン活性を持ち、嘔吐、腹痛、下痢などの消化器障害や発疹、じんましんなどの皮膚障害のほか、月経不順や不正出血といった婦人科系の危害事例が多く報告されている。東京大学非常勤講師で『「健康にいい」ものばかり食べると早死にします』などの著書がある左巻健男さんが言う。

「“がん予防に効く”などと販売されていたアガリクスのサプリの中には、国立医薬品食品衛生研究所の毒性試験で発がん促進作用が認められたものもあるほか、これを摂ったがん患者が重度の肝障害に陥ったという報告もあります。そもそも、本当にがん予防効果があるなら、それは医薬品です」(左巻さん)

 左巻さんによれば、健康食品で消費者センターへの苦情件数が多い二大巨頭は、ウコンとクロレラだという。

「ウコンは肝機能障害が複数報告されています。クロレラはそのほか、下痢や吐き気に加え、太陽光でもやけどのようになる日光過敏症が問題になったことがあります」(左巻さん)

 数年前からサプリやグミなどの形で市場に出てきた「記憶力をよくする」というふれ込みのイチョウ葉エキスにも、危険が伴う。薬学博士の生田哲さんが言う。

「成分自体は、フラボノイドの作用により、血管拡張や動脈硬化の改善、血糖値の正常化などの働きが認められています。一方でアレルギーの原因となるギンコール酸という物質も含まれており、皮膚炎を起こす可能性も考えられます」(生田さん)

「薬とののみ合わせ」によっては、サプリの健康被害が重篤なものになる恐れもある。

「EPAやアルギニン、セサミン、GABAには、血圧を下げる作用があります。そのため、降圧剤をのんでいる人がこれらのサプリをのむと、血圧が下がりすぎる可能性がある。また、葉酸は抗てんかん薬の効きを悪くする恐れがある。葉酸は肝臓を活性化するため、薬の成分を体に吸収する前に分解してしまうのです。

 ワルファリンカリウム剤を処方されているなら、コエンザイムQ10をのんではいけません。血液凝固を促進する働きが薬と拮抗し、薬が効かなくなる恐れがあります」(生田さん)

 一方、ナットウキナーゼは血液凝固を妨げるため、アスピリンなどの抗血栓薬をのんでいる人にとっては危険。血液が固まらなくなるため、けがをしたときなどに血が止まりにくくなる可能性がある。

関連キーワード

関連記事

トピックス

サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《総スカン》違法薬物疑惑で新浪剛史サントリー元会長が辞任 これまでの言動に容赦ない声「45歳定年制とか、労働者を苦しめる発言ばかり」「生活のあらゆるとこにでしゃばりまくっていた」
NEWSポストセブン
「第42回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
《ヘビロテする赤ワンピ》佳子さまファッションに「国産メーカーの売り上げに貢献しています」専門家が指摘
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《エプスタイン事件の“悪魔の館”内部写真が公開》「官能的な芸術品が壁にびっしり」「一室が歯科医院に改造されていた」10代少女らが被害に遭った異様な被害現場
NEWSポストセブン
香港の魔窟・九龍城砦のリアルな実態とは…?
《香港の魔窟・九龍城砦に住んだ日本人》アヘン密売、老いた売春婦、違法賭博…無法地帯の“ヤバい実態”とは「でも医療は充実、“ブラックジャック”がいっぱいいた」
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、インスタに投稿されたプライベート感の強い海水浴写真に注目集まる “いいね”は52万件以上 日赤での勤務をおろそかにすることなく公務に邁進
女性セブン
岐路に立たされている田久保眞紀・伊東市長(共同通信)
“田久保派”の元静岡県知事選候補者が証言する “あわや学歴詐称エピソード”「私も〈大卒〉と勝手に書かれた。それくらいアバウト」《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「少女を島に引き入れ売春斡旋した」悪名高い“ロリータ・エクスプレス”にトランプ大統領は乗ったのか《エプスタイン事件の被害者らが「独自の顧客リスト」作成を宣言》
NEWSポストセブン
東京地裁
“史上最悪の少年犯罪”「女子高生コンクリート詰め事件」逮捕されたカズキ(仮名)が語った信じがたい凌辱行為の全容「女性は恐怖のあまり、殴られるままだった」
NEWSポストセブン
「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路とは…(写真/イメージマート)
【1500万円が戻ってこない…】「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路「経歴自慢をする人々に囲まれ、次第に疲弊して…」
NEWSポストセブン
橋幸夫さんが亡くなった(時事通信フォト)
《「御三家」橋幸夫さん逝去》最後まで愛した荒川区東尾久…体調不良に悩まされながらも参加続けていた“故郷のお祭り”
NEWSポストセブン
麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン