十両・朝乃山のタオルが大きく目立つ陳列だ
朝乃山のグッズばかりが…
また、本場所中の館内には相撲協会の公式グッズ売店が設置され、協会の直販商品を親方衆が販売している。食品、菓子、雑貨、アクセサリーなど50種類以上の商品が並ぶが、ファンが奪い合うように購入するのが力士の四股名やイラスト入りのグッズだ。
定番の力士タオルのほか、力士の顔ハンカチ、クリアファイル、力士色紙、力士ふせん、応援うちわなどがあるが、すべての力士のものが用意されているわけではない。相撲協会が厳選した5~10人の力士のみの商品が並ぶ。つまり、これらの商品をチェックすれば、今の相撲協会が“看板力士”として推すのが誰かが透けて見えるわけだ。
入口に置かれた力士ハンガーは若隆景、若元春、翔猿、高安、宇良の5種類で、若隆景と若元春が見本として飾られている。その横にある力士の顔写真がデザインされたフルカラー力士タオルは貴景勝、宇良、隆の勝、高安、大栄翔、遠藤、豊昇龍、翔猿、翠富士、熱海富士と10種類ある。若隆景、若元春の大波兄弟、翔猿、宇良あたりが協会の“顔”としての責任を負っているように見える。
一方で、定番の力士タオルを見ると状況が少し違う。力士タオルは全19種類で、照ノ富士や貴景勝、若隆景、御嶽海など上位陣はほとんど揃っているが、「新発売」として十両の朝乃山が置かれている。土俵そっちのけで相撲グッズを買い求めるファンは複数の力士のタオルを手にしているが、多くの人が朝乃山のタオルを握っている。相撲協会も朝乃山への期待が大きいのか、朝乃山だけスペースを倍は取り、見本として広げたタオルが掲げられている。
他のグッズを見ても朝乃山への期待が窺える。土俵の土のストラップや力士紅茶などもあるのだが、力士が厳選されているのが応援うちわ。8種類しかないなかで、照ノ富士、貴景勝、御嶽海、豊昇龍、遠藤、阿炎、朝乃山という顔ぶれ。
クリアファイルは照ノ富士、貴景勝、若隆景、宇良、翔猿、若元春の6種類が今回追加されたが、それまでの商品で置かれているのは御嶽海、遠藤、朝乃山の3種類だけ。しかも追加の6種類は乱雑に積み上げられるだけなのに、朝乃山など3種類は綺麗に展示されていた。アクリルキーホルダーに至っては朝乃山のものしか見当たらない。
3月場所の土俵は最終盤まで賜杯の行方がわからない展開となりそうで、なかなか“主役”が見えてこない。相撲協会の公式グッズ売り場を見る限りは、若隆景と若元春の大波兄弟、ご当地場所の宇良、貴景勝の人気に期待しつつも、今場所十両筆頭となった大関経験者の朝乃山がイチ推しのように見える。先場所後の番付編成会議で幕内復帰はならず十両に据え置かれたことで、少なからぬ関係者が期待した「年内大関復帰」は厳しくなったものの、それでも相当に期待は大きいようだ。少なくともひとり横綱の照ノ富士の影はどんどん薄くなっている。