スポーツ

ついに「大関ゼロ」に現実味 「公傷制度の復活」ほかガチンコ時代に必要な相撲改革とは

貴景勝の左膝には痛々しいテーピングが(3月場所5日目の取組。時事通信フォト)

貴景勝の左膝には痛々しいテーピングが(3月場所5日目の取組。時事通信フォト)

 大相撲3月場所の優勝争いは大混戦の様相だ。12日目を終えて2敗に小結・大栄翔と平幕の翠富士が並び、3敗が関脇・霧馬山、小結の若元春、琴ノ若となっている。横綱・照ノ富士は全休で大関・貴景勝も7日目から休場。まさに「荒れる春場所」である。ただ、最近の本場所は大荒れが続いている。

 昨年は年6場所のうち、平幕優勝が3場所もあった。上位陣が星を落としたり、休場したりするケースが多いからだ。御嶽海や正代は大関から陥落。昨年11月場所で優勝同点(巴戦で平幕の阿炎が優勝)、今年の1月場所で優勝した大関・貴景勝は今場所に綱取りがかかっていたが、4日目までに2敗を喫し、6日目で3敗目となると、翌日には「左膝内側半月板損傷」の診断書を出して休場となってしまった。

 貴景勝は3日目の正代戦で膝を痛め、6日目の御嶽海戦で悪化させてしまったのだという。綱取りから一転、来場所は6度目のカド番に追い込まれる。今年1月場所から番付は125年ぶりの「1横綱1大関」という異常事態だが、本場所で横綱と大関が全員休場して不在になったことは昭和以降初だという。若手親方のひとりはこう言う。

「ガチンコ全盛のこんな激しい土俵なのだから、公傷制度を復活させるか、“三役で3場所33勝以上”という大関昇進の目安を廃止して、横綱以外は前の場所の成績順に大関、関脇、小結……と並べていくような番付編成にするしか、この窮地を脱する方法なんてないのでは。巡業で看板力士の横綱・大関が不在では勧進元にも顔向けができない。他の関係者とも大真面目にそんな話題になっています」

 2003年まで存在した大相撲の公傷制度は、本場所の土俵のケガで全治2か月以上と診断された場合、次の場所は全休しても番付が下がらないことを認める制度だった。深刻なケガではないのに公傷による休場力士が増えすぎたことなどで廃止されたが、今場所の取組で負傷した貴景勝がカド番になり、来場所に陥落というようなことになれば、「大関ゼロ」になりかねない。公傷制度復活を望む声が出てくるのは当然かもしれない。

 しかも3月場所の優勝争いも平幕の翠富士が引っ張るような展開で、関脇陣から「三役で3場所33勝」を満たす大関候補が出てきそうな気配もない。

「東関脇の若隆景は初日から5連敗ですでに6敗。関脇4場所目で7場所連続三役を守っている豊昇龍が4敗、先場所11勝を挙げて関脇に昇進して大関の足がかりにしたい霧馬山はなんとか3敗で粘っているが、終盤の星の潰し合いを考えると関脇陣の大関取りも白紙に戻ったと言える」(担当記者)

関連キーワード

関連記事

トピックス

割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
3年前に離婚していた穴井夕子とプロゴルァーの横田真一選手(Instagram/時事通信フォト)
《ゴルフ・横田真一プロと2年前に離婚》穴井夕子が明かしていた「夫婦ゲンカ中の夫への不満」と“家庭内別居”
NEWSポストセブン
二刀流かDHか、先発かリリーフか?
【大谷翔平のWBCでの“起用法”どれが正解か?】安全策なら「日本ラウンド出場せず、決勝ラウンドのみDHで出場」、WBCが「オープン戦での調整登板の代わり」になる可能性も
週刊ポスト
高市首相の発言で中国がエスカレート(時事通信フォト)
【中国軍機がレーダー照射も】高市発言で中国がエスカレート アメリカのスタンスは? 「曖昧戦略は終焉」「日米台で連携強化」の指摘も
NEWSポストセブン
テレビ復帰は困難との見方も強い国分太一(時事通信フォト)
元TOKIO・国分太一、地上波復帰は困難でもキャンプ趣味を活かしてYouTubeで復帰するシナリオも 「参戦すればキャンプYouTuberの人気の構図が一変する可能性」
週刊ポスト
世代交代へ(元横綱・大乃国)
《熾烈な相撲協会理事選》元横綱・大乃国の芝田山親方が勇退で八角理事長“一強体制”へ 2年先を見据えた次期理事長をめぐる争いも激化へ
週刊ポスト
2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン