国内

ベストセラー作家・橘玲「末路はテロリストも」スポーツ、アイドルやホストクラブの「過度な推し活」が危険すぎる

ノンフィクションライターの宇都宮直子さん

ノンフィクションライターの宇都宮直子さん

 日本を取り巻く分断の正体や、自由で平等な社会がかえって不自由さを生む皮肉さを脳科学や進化論、遺伝学をもって読み解くベストセラー作家の橘玲さん。新刊『シンプルで合理的な人生設計』も話題の彼が、最近関心を持っているのがホストクラブにハマる、いや狂う女性客たちの存在。通称「ホス狂い」と呼ばれる彼女たちを追い続けるノンフィクションライターの宇都宮直子さんと緊急対談を行った。

 アプローチの違いこそあれ、互いに日本社会の「不都合な真実」に迫るふたりが、頻発する事件の読み解き方からシニア婚活の最新事情まで、日本を取り巻くシビアすぎる現実について語り合った。その第2回をお送りする(全3回)。

 * * *

橘:そもそも、宇都宮さんがホス狂いに興味を持たれたきっかけって、どういったものだったんですか? 取材とはいえ、彼女たちの「物語」を聞き続けるのはかなりの労力が必要だったと思うのですが。

宇都宮:想像していた以上に大変でした……。ホス狂いという言葉を知ったきっかけは、2018年に起きた「歌舞伎町ホスト殺人未遂事件」の取材が最初です。ガールズバーの店員が相手のホストを「好きで好きで仕方なかった」という動機で刺してしまったという。

橘:事件の直後にSNSで、血だらけになった犯人の女の子の写真が拡散されたことも含めて、当時かなり話題になりましたよね。

宇都宮:はい、あの刺されて倒れていたホストにも取材したのですが、そのときに犯人がホストに獄中から宛てた手紙を見せてもらって、その中に「夢のような2か月をありがとうございました」と書いてあったんです。この男のせいで、人生がめちゃくちゃになって、いま拘置所にいるのに、それでもなお幸せだと思っているのはなんでなんだ? とすごく衝撃を受けて。そもそも、私は週刊誌の記者としていろいろな事件の現場に行く中で、女性が起こす事件について強い興味を持つようになったというのもあるのですが……。2006年の『秋田連続児童殺害事件』とか。

橘:なるほど。記者になられたのは、秋田の事件から?

宇都宮:いえ、もっと前からなんですが、記者として意識的に取材しようという「自我」が目覚めたのが秋田の事件だったんです。それまではただ現場に飛ばされて、とにかく取材して、という。

橘:そもそもなんで記者になろうと思ったんですか? 女性の事件記者って、けっこう珍しいですよね。

宇都宮:いや、実はお恥ずかしい話なんですが、きっかけは大学時代にホストにハマったことで……。

橘:ということは、宇都宮さんもホス狂い!?(笑い)。シャンパンタワーを建てたり?

宇都宮:いや、ぜんぜんそんなレベルじゃなくて、「ホス狂い」を名乗るなんておこがましいくらいささやかなもので。しかも歌舞伎町じゃなくて八王子ですし……(笑い)。学生の頃って、周囲にいる同年代の男の子よりも少し年上のほうがかっこよく見えたりするじゃないですか。その延長線上で、ホストに行ってしまって。

橘:確かに女性が同世代の男の子をすごく子どもに思うっていうのはよく聞きますよね。二十台前半くらいまでは、男女で精神年齢がかなり違うから。

関連キーワード

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン