晩酌時のアルコールは量がポイントだ。適量の目安は、ビールの場合はロング缶1本(500ml)、焼酎なら25度で約3分の2合(約110ml)までだという。
「お酒を飲むと血管が拡張されて一時的に血圧が下がるものの、その後は血圧が上昇します。飲酒量が多い人ほど1日の平均血圧が高くなることがわかっており、適量を守ることが重要です」
食事以外に、「ティータイムを導入」することも降圧には効果的だ。
「緑茶の一種であるギャバ茶を食後に2杯程度飲むとよいでしょう。アミノ酸の一種のGABA(ガンマ・アミノ酪酸)は腎臓の働きを高めて塩分を排出する効果が研究で示されており、積極的に摂取すべきです。ノンカフェインの杜仲茶も降圧効果が確かめられており、お勧めです」
ティータイムのお茶うけにカカオ含有率が高いダークチョコレートを食べると、より降圧効果が得られやすい。
「高カカオチョコレートはポリフェノールの一種『エピカテキン』の抗炎症作用による血流改善、降圧効果が期待できます」
心身ともにリラックスできる入浴時は「ぬるめのお湯で半身浴」が理想。
「浴槽に深く浸かると水圧で心臓に負担がかかるので、半身浴か、湯量は多くても胸の半分くらいまでにしましょう。熱い湯は血圧の急上昇に繋がるので40℃程度がベター。長湯はNGです」
そして就寝時は「横向きの姿勢で寝る」のがポイントだ。
「夜間の血圧上昇の要因となる睡眠時無呼吸症候群の予防には、仰向けより横向きに寝たほうがよいことが研究で判明しています。また横向きの姿勢は腎臓への血流量が増えやすいので、この点からも降圧効果が期待できます」
通常は無意識に行なっている呼吸方法にも、降圧のコツがある。
「口呼吸は副交感神経の働きが鈍くなり、血圧が上がりやすい。対して鼻呼吸(腹式呼吸)では副交感神経が優位になり、血圧が安定することが研究でわかっています」
鼻詰まりがあると血圧が上昇するとの報告もあり、この時期に多い花粉症の治療をきちんとしておくこともポイントとなる。
渡辺医師が考案した独自の指圧法もある。
「テニスボール2個をガムテープで合体させてピーナッツ型にし、横方向で背中の肩甲骨の上、下、腰椎の上、骨盤あたりに各1分ほど当てるものです。脊椎に沿って両側にある脊柱起立筋など、自分では指圧しづらい箇所が刺激できます。コリがほぐれ、副交感神経を刺激してリラックス状態になると、血管が広がって血圧が下がるのです」
高血圧対策も医師や薬に頼るばかりではいけない。
※週刊ポスト2023年4月21日号