外出に際しても「降圧」のコツはいくつもある。まずは服装だ。
「ズボンのベルトで腹部を締め付けると、末梢神経が圧迫されて血圧が上がります。外出着はズボンがずれ落ちない程度に穴を調節し、ベルトはできる限り緩めましょう」
同様の理由から、ネクタイや腕時計などの装着にも注意が必要だという。
「外出中、適度な運動のために階段を利用する人も多いと思いますが、階段は下りだけを使うのが望ましい。階段の上りと下りで運動効果に大差はない一方、上りは心肺機能への負荷が大きいことがわかっています。血圧が高めの人が無理をして階段を上るのは、血圧上昇を招く危険行為です」
どうしても上り階段を利用する時は、「忙しくてもなるべくゆっくり上がる」ことが大事だ。
さらに気を付けたいのが外出中のトイレの問題。
「排尿・排便を我慢し続けると大きく血圧が上がるのでNG。いざという時のために、自分の生活圏で公園や施設など用を足せる場所を押さえておくとよいでしょう」
花粉症も影響する
毎日の食事も「降圧」の観点から工夫できる。
「早食いは肥満の原因になるだけでなく、咀嚼のペースが上がるので血圧も急上昇します。食事は20分以上かけて、腹八分目に抑える食べ方が好ましいでしょう」
より具体的には、「一口の量を少なくする」「意識して箸を頻繁に置く」「会話を楽しみながら食べる」などが実践しやすいという。
高血圧の大きな原因とされる塩分の過剰摂取だが、食事内容はどう工夫すればよいか。
「塩分の摂りすぎにより体内のナトリウムが増え血圧が上昇しますが、天然の降圧剤とも呼ばれるカリウム摂取により、ナトリウム排出を促すことができます。カリウムをふんだんに含む芋類、豆類、葉物野菜、果実類を積極的に食べましょう。里芋やジャガイモ、大豆、ほうれん草、モロヘイヤ、小松菜、アボカド、バナナなどがカリウムを効率的に摂取できる品目です。ただし腎臓の悪い人は摂りすぎに注意が必要です」
調味料の使い方にも工夫の余地がある。
「醤油さしをスプレー式に変えると、垂らすタイプよりも1回の量が減らせて減塩に効果的です。霧状に満遍なく振りかけられるので味も美味しく感じられ、お勧めです」