「増税隠し解散」勢力図(写真/時事通信フォト)
「財務省は昨年夏の人事で各部門のエース級を主税局に据えて消費増税シフトを敷いた。それを見れば、財務省の本気度がわかる。だが、防衛増税をめぐっては選挙に弱い自民党若手などの激しい反発を呼んだ。解散を先送りすれば、秋の増税議論の時に選挙での反発を恐れる議員の反対論が一層強まるでしょう。
そこで財務省としては、岸田首相が増税を隠して早期解散を打ち、勝って選挙の心配がなくなれば自民党内の増税反対論を封じ込めやすい。バラマキ予算を認めたのも、岸田政権と自民党に選挙後の増税を受け入れさせるためでしょう」(藤本氏)
消費増税は「常に検討しなければならない」という持論を持つ名うての増税論者、谷垣禎一・元自民党総裁は時事通信のインタビューで岸田首相が「腹を固めた」「自分がこれだと思うことは信じて進めていく」と指摘して、こう期待している。
〈防衛費増額にしても全部国債となったらおかしくなってしまう。どこを増税でやろうかというのは岸田さんもある程度考えていると思う。もっとも、ある考え方の人たちは「財務省の言いなりだ」と言うが〉
財務省の振り付けで、岸田首相の解散路線はもう止まらない。
※週刊ポスト2023年4月28日号