2023年4月にオープンした東急歌舞伎町タワー(時事通信フォト)

2023年4月にオープンした東急歌舞伎町タワー(時事通信フォト)

 ただし男性専用の小便器コーナーは逆側に備えられている。警備員が立っている通路真ん中を挟み、大便器のみのコーナーが男女共用の「ジェンダーレストイレ」(あと付けの張り紙では「誰でもトイレ」「多目的トイレ」、後述)である。つまり、2階には小便器のみとはいえ「男性専用トイレ」はあっても、「女性専用トイレ」はないということになる。

 このジェンダーレストイレもピクトグラムで案内されている。5階に比べれば白地でわかりやすかったがやはり「ジェンダーレス」なので色はない。それにしてもピクトグラム、実際に若い男性が「わかんねーよ」と笑いながら言っていたが、その下には後から貼られた簡易な張り紙が貼られていた。それには昔ながらのわかりやすい男女の色分けがされ、さらに「男性専用トイレ」「誰でもトイレ」「多目的トイレ」と書いてある。ただし「女性専用トイレ」とは書かれていない。

 言葉の問題だけだろう、と思われる人もあるかもしれないが、「ジェンダーレストイレ」を標榜するトイレなのに「男性専用トイレ」と改めて書かれ、「女性専用トイレ」は「誰でもトイレ」「多目的トイレ」に置き換えられていた。「ジェンダーレス」なのに男性専用があることになってしまった。それは営業上仕方のない話かもしれないが、このビルの、トイレが当初は公式に「ジェンダーレストイレ」としているのにあと付けの張り紙でそうなっていた、という事実のみを記している。

 ただこの張り紙をした判断、ジェンダーはともかく混乱を避けるための「現場判断」とするならわかる話でもある。実際、2階は巨大な居酒屋(その他はイベントステージとスタバ)なのでどうしてもトイレは近くなる。しかし小便をする男性はともかく、女性の一部はわざわざ他階に行っていた。筆者といっしょに飲んでいた女性も他階に行った。彼女は、

「男女の分かれたトイレがあるならそっちに行く」

 と言っていたが、別に彼女が「ジェンダーに理解がない」とかそういう話ではない。ジェンダーレストイレという名の「女性と男性がいっしょにトイレを待ち、男性が使ったあとを女性が使い、あるいは女性が使ったあとを男性が使うトイレ」を彼女が個人的に避けたかった、という話である。先に筆者が他階に行った際も女性が複数、賑やかに連れ立って女性専用トイレを目指していた。彼女らの「男性と一緒(にトイレ)なんて嫌」という言葉は「男が嫌い」というわけではなく、シンプルに「女性専用トイレを使いたい」であろう。

「女性(専用)トイレなくさないでよー」

 こうも言っていた。気持ちはよくわかる。私だって正直に言えば「女性と一緒(にトイレ)なんて嫌」だから、総合案内板にあった5階の、男女で分かれている従来型のトイレを利用したのだ。

 小便器があれば小用を足せる男性と違い、女性は大便器を使うしかない。あくまで人体の機能上の問題であり、女性はそうではない、というだけの話である。筆者の個人的な感想としてはジェンダーレストイレの入り口に並ぶ女性の列に躊躇してしまった。その時たまたまかもしれないが全員女性。筆者が列に並び、どのトイレを選ぶにしろ、個室から出てきた女性のあとに入ることになる。そして私が入ったあとに先頭の女性がおそらく入るのだろう。しっかりお互いがわかる形で。

 それがジェンダーレストイレ、何をしているわけでもないのだから気にするな、やましいことがあるのか、別に気にしない、という向きもあるだろうが、現実に女性の多くが他階を、男性もまた少なからず目指していた。人数の多い飲み会だったが、内輪に限ればトイレに行く人は小便の男性を除けば他階に行っていた。

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