ライフ

「ジェンダーレストイレ」設置 新宿歌舞伎町の現場を訪れて考えてみた

「東急歌舞伎町タワー」に設置されたジェンダーレストイレ(時事通信フォト)

「東急歌舞伎町タワー」に設置されたジェンダーレストイレ(時事通信フォト)

 SDGs(持続可能な開発目標)のかけ声のもと、様々な新しい試みがなされている。そのうちのひとつが「ジェンダーレストイレ」だ。ところが、話題のスポットにジェンダーレストイレ、と知られるたびに懸念の声がネットで広がっている。ネットの中だけでの話で、現実は歓迎されているのか、実際にも困惑とともに利用されているのか。俳人で著作家の日野百草氏が、外国人観光客も戻り再びにぎやかになってきた新宿歌舞伎町の「ジェンダーレストイレ」を訪れた。

 * * *
「トイレどこにあるの?」

 新宿「東急歌舞伎町タワー」。5階の高級会員制クラブ(レストラン併設)エントランスで老夫婦が少し強めの語気で「トイレはどこ」と訪ねている。「トイレはあちらになります。ご案内しましょうか」とコンシュルジュが対応するも「いいよ、面倒くさい、自分で行く」と踵を返した。

 トイレはすぐ目の前にあるが、じつにシックな同系色で統一され、確かにトイレに見えない人もあるかもしれない。「RESTROOM」というのも高齢者の中には「わかりづらい」という人もいるか。男女のピクトグラムはあるが、色分けはない。

 4月に開業したこの新宿「東急歌舞伎町タワー」、筆者は2階にある開放的かつ大掛かりな居酒屋スペースで打ち合わせ兼飲み会のために訪れたが、確かに5階、どこにトイレがあるのか一瞬わからなかった。他にもトイレをしばし探して「あった」と目の前であることに気づく人もいた。

 ただしこの5階のトイレは男女で分かれている。逆に2階のトイレは分かれていない「ジェンダーレストイレ」である。その他、各階トイレも2階以外は男女別(外部の利用は各階および施設による)だった。各階にトイレはあるが、2階入口(実質的には2階がメインエントランス)の総合案内板では2階と5階のトイレのみ表記されている。

 ジェンダーレストイレとは男女(自認含む)、もしくはそのどちらでもないと自認(Xジェンダー)する人など誰もが使える個室トイレだ。男女とも大小の用足しおよび性による事情など、すべて同じ個室を使う。

分かれたトイレがあるならそっちに行く

「女性と男性がいっしょにトイレを待ち、男性が使ったあとを女性が使い、あるいは女性が使ったあとを男性が使うトイレ」

 こう書くと昭和や平成初期の施設にあった「男女共用トイレ」(いまも小さな店などにはあるが)に先祖返りしたような気になるが、このトイレ、「ジェンダーレストイレ」という名称を除けば仕組みとしてはそれである。

関連キーワード

関連記事

トピックス

1992年にデビューし、アイドルグループ「みるく」のメンバーとして活躍したそめやゆきこさん
《熱湯風呂に9回入湯》元アイドル・そめやゆきこ「初海外の現地でセクシー写真集を撮ると言われて…」両親に勘当され抱え続けた“トラウマ”の過去
NEWSポストセブン
笑顔に隠されたムキムキ女将の知られざる過去とは…
《老舗かまぼこ屋のムキムキ女将》「銭湯ではタオルで身体を隠しちゃう」一心不乱に突き進む“筋肉道”の苦悩と葛藤、1度だけ号泣した過酷減量
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:
【激太りの近況】水原一平氏が収監延期で滞在続ける「家賃2400ドル新居」での“優雅な生活”「テスラに乗り、2匹の愛犬とともに」
NEWSポストセブン
折田楓氏(本人のinstagramより)
「身内にゆるいねアンタら、大変なことになるよ!」 斎藤元彦兵庫県知事と「merchu」折田楓社長の“関係”が県議会委員会で物議《県知事らによる“企業表彰”を受賞》
NEWSポストセブン
“ボディビルダー”というもう一つの顔を持つ
《かまぼこ屋の若女将がエプロン脱いだらムキムキ》体重24キロ増減、“筋肉美”を求めて1年でボディビル大会入賞「きっかけは夫の一声でした」
NEWSポストセブン
チームを引っ張るドミニカ人留学生のエミールとユニオール(筆者撮影、以下同)
春の栃木大会「幸福の科学学園」がベスト8入り 元中日監督・森繁和氏の計らいで来日したドミニカ出身部員は「もともとクリスチャンだが幸福の科学のことも学んでいる」と語る
NEWSポストセブン
横山剣(右)と岩崎宏美の「昭和歌謡イイネ!」対談
【横山剣「昭和歌謡イイネ!」対談】岩崎宏美が語る『スター誕生!』秘話 毎週500人が参加したオーディション、トレードマークの「おかっぱ」を生んだディレクターの“暴言”
週刊ポスト
お笑いコンビ「ガッポリ建設」の室田稔さん
《ガッポリ建設クズ芸人・小堀敏夫の相方、室田稔がケーブルテレビ局から独立》4月末から「ワハハ本舗」内で自身の会社を起業、前職では20年赤字だった会社を初の黒字に
NEWSポストセブン
”乱闘騒ぎ”に巻き込まれたアイドルグループ「≠ME(ノットイコールミー)」(取材者提供)
《現場に現れた“謎のパーカー集団”》『≠ME』イベントの“暴力沙汰”をファンが目撃「計画的で、手慣れた様子」「抽選箱を地面に叩きつけ…」トラブル一部始終
NEWSポストセブン
母・佳代さんのエッセイ本を絶賛した小室圭さん
小室圭さん “トランプショック”による多忙で「眞子さんとの日本帰国」はどうなる? 最愛の母・佳代さんと会うチャンスが…
NEWSポストセブン
春の雅楽演奏会を鑑賞された愛子さま(2025年4月27日、撮影/JMPA)
《雅楽演奏会をご鑑賞》愛子さま、春の訪れを感じさせる装い 母・雅子さまと同じ「光沢×ピンク」コーデ
NEWSポストセブン
自宅で
中山美穂はなぜ「月9」で大記録を打ち立てることができたのか 最高視聴率25%、オリコン30万枚以上を3回達成した「唯一の女優」
NEWSポストセブン