日本語との出会いについて語ってくれたKさん

「できなくて当たり前」と語るKさん

 単純に“ポジティブ思考”というのではない、Kさんの言葉には明るい説得力がある。

「僕、ほんとにいっぱい間違えましたよ。忘れられないのは、『韓国にいるお友達やご家族は、Kさんが今こうやって日本で音楽を作っていることについてどう思っていらっしゃいますか』とインタビューされた時。『みんな、僕の活躍をネットで見て喜んでますよ』と答えちゃったんです。日本では自分で自分のことを『活躍してる』って言わないじゃないですか。そこは日本と韓国の文化の違いがあるんですよね。韓国では、今自分はこういう『活動』をしていて、なおかつ『活躍』もしていると自分でアピールする国なので、僕はその感覚で喋ってたんですけど、マネージャーさんに指摘されて、そうだったのか! と。

 いつも、マネージャーさんも含め周りの方たちに、もし僕が間違ったことを言ったら、遮ってもいいから教えてねとお願いしています。もちろん今もです。『あ、その言葉何だろう』って思うこと、今もありますから」

 こんなに上達しても? と思い「今もですか?」と問うたら、Kさんは「ありますよ」を3回繰り返した。

「もちろん昔ほどじゃないとは思います。でも、誰かと話してて、自分、違うこと言いそうだなと思ったら喋らないというテクニックもだんだん身についてくるんですよ。パパパッと喋っていて、次の言葉、次の文章を考えてる瞬間に察知するというか。だから外側からはあんまり間違っているようには見えないかもしれないけど、間違いそうだな、と感じるときはあります。

 外国人でも日本人でも、何か言ったすぐ後に『あ、今の違った』って言うことありますよね。そうじゃなくて、こう言いたかったんだって。間違えてもそれでいいんじゃないかなあ」

第3回に続く

【プロフィール】K(ケイ)/1983年生まれ、韓国・ソウル市出身。2005年TBSドラマ「H2」の主題歌『over…』で日本デビュー。以来、ヒット曲を連発し、日本武道館や47都道府県ツアーも成功させる。ライブ以外にもMCやラジオDJ、ナレーターなど幅広く活動。妻はタレント・関根麻里さん。

◆取材・文 北村浩子(きたむら・ひろこ)/日本語教師、ライター。FMヨコハマにて20年以上ニュースを担当し、本紹介番組「books A to Z」では2千冊近くの作品を取り上げた。雑誌に書評や著者インタビューを多数寄稿。

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