(c)「かしましめし」製作委員会
──今回の『かしましめし』も『ごちそうさん』もそうですが、料理が中心となった作品が、昨今増えています。フードスタイリストとしてすでに30年以上、現場に立つ飯島さんから見て、この現象をどんなふうに捉えていますか?
飯島さん:このブーム、だいぶ長いですね。この10年間くらいで急激に増えたような気がします。でも、そのうち落ち着くのではないでしょうか。フードスタイリストがいるけれど、必ずしも料理が主役ではない作品がまた増えてくるのでは?
──(フードスタイリストが手がけた美味しそうな料理が登場するけれども、)かつての平成ドラマのように、あくまでも風景の一つとして描かれるイメージでしょうか。
飯島さん:そうですね。だから今も、なるべく無理矢理(料理を)作ったという雰囲気が出ないようにしています。メインでも風景でも変わらず、料理に自分の思いを載せています。
「料理の一瞬の輝き」のために
──飲食店の経営や栄養士など、「食」にかかわる仕事がたくさんあるなかで、なぜフードスタイリストという職業を選ばれたのでしょうか?
板井さん:私は現場で撮影がうまくいったときの喜び……でしょうか。モニターチェックをしたら、監督からリクエストされた湯気が映っているだけで「やった!」と。CMだと冷房がガンガンに効いたスタジオで撮影できますけど、ドラマはそうもいかない。すごく大変なんですけど、思い通りに湯気があがると……うれしいです!
岡本さん:私も板井とほぼ同じなんですけど、料理の一瞬の輝きのために頑張れる……というのが、この仕事を選んだ理由でしょうか。モニターに湯気のある料理を見るのはもちろん、みなさんから「美味しい!」と言われるのもうれしいです。
(c)「かしましめし」製作委員会
──湯気、大事そうですね。
3人:大事です!!(笑)
飯島さん:ふたりは現場に喜びがあるとのことですが、私はそれ以外にもあります。この仕事を通してさまざまな場所へ行けたりとか、好きな作品に関わることができる。好きな料理を作っているだけなのに、その料理を通して夢を叶えているんだなあと思うと、感慨深いです。
──とは言っても、撮影現場ですからやはり体力的にキツいこともあるのではないでしょうか。
飯島さん:強いて言うなら、時間が読めないことです。例えば撮影があれば1時間から1時間半前にはスタジオに入って、準備を始めます。以前も埼玉県入間市で撮影があったときは、まず移動で2時間かかるのが大変でした。朝7時開始だと、4時くらいに事務所で荷物をピックアップして……で、終わりが見えない撮影を夜中まで、ですから。結構スケジュールはハードです。