山口さんは給食の感触指導が会食恐怖症にかかわるとして、主に教育者向けの「月刊給食指導研究資料(きゅうけん)」を毎月無料で公開
山口さんによれば、まさにここ数か月、コロナ禍で控えていた結婚式や会食が再開されるようになり、会食恐怖症に悩む人からの相談が増加しているという。会食恐怖症に悩む人は、まず何をどうしたらいいのだろうか?
「『回避』をやめることですね。私自身も食事を伴う集まりを避けている限りは改善されませんでした。なので、緊張しにくそうなメンバーであれば食事をせずとも会食の場所に参加するようにして、会話を楽しむこと、場慣れすることから始めました。
それとバイト先では、まかないが多くて食べられないと正直に周囲に伝えました。幸い、周囲の理解があって『ゆっくり食べていいからね』『別に残しても大丈夫だよ』と声をかけてもらえていたので、波はありつつも半年かけて人前でも食べられるようになったんです」
山口さんは、会食恐怖症の克服=完食を目指すことではないと強調する。
「大食いが称賛される風潮や、給食を残すなという意見もわかりますが、自分の心が苦しくなってまで周りの正しさに合わせる必要はないと私は考えています。少食が悪なわけではありませんから。
私たちの目指すゴールは、『会食を心から楽しむ』ということ。安心できる相手と安心できる環境で少しずつ食事を楽しめる練習を重ねていく。これが会食恐怖症克服の近道です」
■Point
・会食に恐怖を抱く自分を認める
・「食べたら吐いてしまう」「残すと怒られる」などの間違えた前提をやめる
・0からいきなり100%を目指すのではなく、まずは30%を目指す
・会食は避けない
・回復まで波があることを覚悟する
【プロフィール】
日本会食恐怖症克服支援協会代表・山口健太さん/薬なしで会食恐怖症を克服した経験を生かし、会食恐怖症に悩む人のカウンセリングを行う。著書は『会食恐怖症を卒業するために私たちがやってきたこと』(内外出版社)や『「吐くのがこわい」がなくなる本』(ダイヤモンド社)など。
取材・文/辻本幸路
※女性セブン2023年6月8日号