天海祐希
宝塚時代も、リーダーシップに優れ、ナイスキャプテンシーな言動による“伝説”がたくさんあったと聞きます。厳しいことで知られる多くの“宝塚ルール”をそれぞれ本当に必要なのかを精査。代々続いていたいくつかのルールを変えたのが天海サンだともいわれています。先輩や先生に対しても、言うべきことは伝えていたと聞いたこともあります。
年上共演者が言う「天海サンの仕切りがあってこそのぼくたち」
そんなカッコイイ天海サンを存分に見られたのが2014年1月期、2015年9月のスペシャル、2017年4月期、2019年4月期、2020年5月の特別編、2021年7月期、2022年1月のスペシャルとファンを夢中にしてきた『緊急取調室』(テレビ朝日系)、略して「キントリ」でした。
個人的にもっとも衝撃的だったのは、でんでんサン(73才)演じる「菱やん」が、天海サン演じる真壁有希子を「おばはん」と呼ぶのを初めて見たとき。でも、それに対して有希子が顔色ひとつ変えずにシーンが進んでいくことに驚くと同時に、天海サンの女優としてのスケールの大きさを見せてもらいました。
座長として天海サンがいてくれることで、いかに現場が穏やかで温かなものになっていたと多くの視聴者に思わせたのは、2018年2月21日に逝去された大杉漣さん(享年66)の「善さん」にまつわるエピソードです。
善さんは劇中では退職した設定で生き続けていらっしゃいます。せりふの中に度々「善さん」が出てきたり、回想シーンがあったり、最新シリーズには善さんの息子さんが出てきたり。さらにバラエティー番組では善さんを含めたNGシーンを流すなど、いつまでも大杉漣さんを仲間として大切にしているのも、心優しい天海サン率いる、チーム・キントリならではのことだと思います。
5月15日、劇場版『緊急取調室 THE FINAL』の完成披露舞台挨拶が行われた際にも、天海サンのリーダーシップが存分に発揮されました。それは田中哲司サン(57才)、速水もこみちサン(38才)、鈴木浩介サン(48才)、大倉孝二サン(48才)、塚地武雅サン(51才)、でんでんサン、小日向文世サン(69才)、常廣丈太監督を率いて、真っ赤な大階段を下りていらしたとき。センターの天海サンに続いて、両サイドの男性陣がタイミングをずらして下りてきて、結果、Vの字にしてから整列する段取りでした。が、“階段下り”に不慣れな男性陣は、せっかくタキシード姿でキメていらっしゃるのに華麗には程遠くて、天海サンを苦笑させていらっしゃいました。事前に天海サンから“宝塚仕込み”のポイントを伝授してもらっていたにもかかわらず、です。