芸能

高田文夫氏が気になるエンタメ マシンガンズ、『だが、情熱はある』、『波よ聞いてくれ』、筒井真理子

お洒落で格好いい小芝風花が金髪で叫ぶ(イラスト/佐野文二郎)

お洒落で格好いい小芝風花が金髪で叫ぶ『波よ聞いてくれ』(イラスト/佐野文二郎)

 放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、最近、気になるお笑い、ドキュメンタリー、ドラマ、映画について綴る。

 * * *
 ベテラン漫才に復活のチャンス。『THE SECOND』で準優勝ではあったが“マシンガンズ”が本当によかった。生放送で勝ち抜き、3本もネタを見せられたんだから本望だろう。もうネタも尽きたのか、3本目など立ち話の世間話。ちょっとした愚痴。それもキャリアを積むと味になる。翌日、ナイツの塙が私に寄って来て「早速漫才協会に入れますんで」とニヤリ。こうして芸人ドラマはまた新しい展開をみせる。

 普段は〈お笑い〉と〈ドキュメンタリー〉しか見ないテレビだが、この節作り物の〈ドラマ〉も面白くて見ている。それこそ若き日の芸人の悩みを描いた『だが、情熱はある』。オードリーの若林と南海キャンディーズの山里の物語なのだが、話題にもなっているがこのふたりを演じるふたりがそっくりの間と喋りなのだ。

 私はひそかに春日の役を楽しんでいる。あの貧乏アパートで裸で西武戦のテレビを見ている春日。面白い。この時駄目なオードリーがまさかあの東京ドームでライブ(2024年2月)を行なうほどのエンターテイナーになると誰が予想しただろう。ある意味水商売の楽しさである。

 水商売は客商売、人気商売。人の気持ちを商売にするのだ。それはラジオも同じ。スープカレー店で働く主人公(小芝風花)がひょんなことからラジオパーソナリティに。メッチャお洒落で格好いい小芝が金髪で真夜中に叫びつづけるのだ。かまずに一気に怒濤の喋り。タイトルは『波よ聞いてくれ』。最初は漫画からスタートしたらしい。私も35年以上ラジオパーソナリティをやっているがあの情熱には学ぶところも多い。

『全裸監督』でAV界を、『浅草キッド』で演芸界をつつみ隠さず描いてきたNETFLIXがついにタブーだらけの相撲界を描いた『サンクチュアリ―聖域―』が金星の面白さ。八百長、タニマチ、かわいがり。土俵の外には人の欲がうごめいている。丸い土俵の中には異常とも思える聖域がある。主演の一ノ瀬ワタルはオーディションで選ばれた。ピエール瀧演じる親方、呼び出しの染谷将太が結びの一番の深い味わい。

 映画は何と言っても演劇界のウラ横綱と言われている達人・筒井真理子が主演の『波紋』。なんでもなかった主婦に訪れる放射能問題、介護、新興宗教、障害者差別。日本の縮図のようなあらゆる問題がふりかかる。表情ひとつでこわれ方まで見せていく。暗黒だった主婦の絶望が一転、ラスト爆発のエンタメへ。同情買う悲劇が喜劇だったとは。

※週刊ポスト2023年6月9・16日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
悠仁さまが学園祭にご参加、裏方として“不思議な飲み物”を販売 女性グループからの撮影リクエストにピースサイン、宮内庁関係者は“会いに行ける皇族化”を懸念 
女性セブン
V9伝説を振り返った長嶋茂雄さんのロングインタビューを再録
【長嶋茂雄さんロングインタビュー特別再録】永久不滅のV9伝説「あの頃は試合をしていても負ける気がしなかった。やっていた本人が言うんだから間違いないよ」
週刊ポスト
山尾志桜里氏(=左。時事通信フォト)と望月衣塑子記者
山尾志桜里氏“公認取り消し問題”に望月衣塑子記者が国民民主党・玉木代表を猛批判「自分で出馬を誘っておいて、国民受けが良くないと即切り捨てる」
週刊ポスト
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
オンラインカジノを利用していたことが判明した山本賢太アナウンサー(ホームページより)
フジテレビ・山本賢太アナのオンラインカジノ問題で懸念される“局内汚染”「中居氏の問題もあるなかで弱り目に祟り目のダメージになる」
週刊ポスト
「〈ゆりかご〉出身の全員が、幸せを感じて生きられるのが理想です。」
「自分は捨てられたと思うのは簡単。でも…」赤ちゃんポスト第1号・宮津航一さん(21)が「ゆりかごは《子どもの捨て場所》じゃない」と思う“理由”
NEWSポストセブン
都内の人気カフェで目撃された田中将大&里田まい夫妻(時事通信フォト/HPより))
《ファーム暮らしの夫と妻・里田まい》巨人・田中将大が人気カフェデートで見せた束の間の微笑…日米通算200勝を目前に「1軍から声が掛からない事情」
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
ブラジル公式訪問中の佳子さま(時事通信フォト)
《佳子さまの寝顔がSNSで拡散》「本当に美しくて、まるで人形みたい」の声も 識者が解説する佳子さま“現地フィーバー”のワケ
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
NEWSポストセブン