多目的トイレ(時事通信フォト)

防犯や安全という観点では懸念も……(写真はイメージ/時事通信フォト)

文京区小2女児殺害事件の悲劇

「男女共用の空間で、入り口もひとつ。正直なところ、防犯や安全という観点が軽視されたアイデアのように感じます。また、小学校の地域開放利用という点はかなり慎重に考えるべきではないでしょうか。

 地域の人々同士の交流も大事ではありますが、“文京区小2女児殺害事件”の痛ましい被害が思い出されます。学校の地域開放を検討するのであれば、児童のセキュリティやプライバシー等の議論を徹底的にする必要があります 」(くわずる氏、以下同)

 1954年、東京都文京区の小学校で小学2年生の女児がヒロポン中毒者から暴行を受けた末に殺される事件が発生した。犯人は小学校でトイレを借りた際、同じくトイレを利用していた被害女児に欲情し、そのまま犯行に及んだという。当時の小学校は学外の人々も気軽に入りやすい空間で、トイレも公衆トイレのような役割を果たしていたが、この事件の影響で、全国の学校の安全対策が見直された。

「事件をきっかけに、全国で小学校のトイレは学外の人々に開放せず、入り口を分けた男女別トイレに変わりました。渋谷区が提案する地域に開放された男女共有のユニバーサルトイレは、ある意味で時代に逆行するようなアイデアです。

 場所という観点から犯罪を防止する“犯罪機会論”という考え方があります。悪意のある人に『この場所で犯行に及ぶのは難しい』と思わせる空間づくりによって、犯罪を未然に防ぐのです。

 犯罪機会論では、トイレの入り口からしっかりと男女別にすることが推奨されています。子どもが使うトイレにおいては、ユニバーサルデザインも大事ですが、防犯や安全という観点を大前提に設計するべきではないでしょうか 」

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