渋谷区の「THE TOKYO TOILET」プロジェクトで、有名クリエイターが設計した公共トイレ(時事通信フォト)
渋谷区の「前例」によぎる不安
渋谷区教育委員会が発行した資料は、あくまで構想に過ぎず、そのまま実現されるとは限らない。それでもくわずる氏が声を上げたのは、「THE TOKYO TOILET」という“前例”があるからだという。同プロジェクトは、有名クリエイターが参画し、優れたデザインの公共トイレを生み出すもので、今年3月までに渋谷区に17か所のトイレが設置されている。
「私は2児の母でもあります。『THE TOKYO TOILET』のトイレはオシャレなデザインをしている一方で、母親としての目線で見ると、死角が多かったりして不安に感じる部分がありました。実際、そういった批判の声がネット上でも出ています。
今回、私がTwitterで地域開放のユニバーサルトイレに疑問を投げかけたことで、渋谷区にお住まいの方々から『子どもの安全第一であるべきだ』と応援のメッセージが多数届きました。6月から区議会が始まるので、そこで意見を伝えるつもりです」
4期目のベテラン渋谷区議会議員である堀切ねんじん氏(51)も、地域開放ユニバーサルトイレの案に反対の立場だ。堀切氏が語る。
「『THE TOKYO TOILET』で設置された公共トイレに対する不安の声は、私のもとにも届いています。同プロジェクトの反省を生かさず、同じ問題を学校施設にまで持ち込む形になってしまうのではないでしょうか」
当該トイレについて渋谷区教育委員会事務局に問い合わせたところ、学校施設課から以下の回答があった。
「整備方針の中でユニバーサルデザイントイレとしてコンセプト案を示したもので、今後それぞれの学校の建て替え事業において、学校関係者や地域の皆様と意見交換をしながら検討していきます。
様々なご意見やご要望に応えながら、最先端の教育環境の整備に取り組んでまいります」
子どもたちの安全がしっかり守られたトイレが実現してほしい。