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《蘇る伝説》美輪明宏と金子由香利の曲をカバーした「銀巴里」出身のシャンソン歌手・クミコが語る「奇跡の時代」

クミコ(左)と残間里江子氏(右)

歌手のクミコ(左)とプロデューサーの残間里江子氏(右)

 日本初のシャンソン喫茶として人気を博し、金子由香利や美輪明宏、戸川昌子などのスターを輩出した東京・銀座の「銀巴里」。1990年末に閉店した後もシャンソンの殿堂として語り継がれる「銀巴里」出身の歌手、クミコ(68)が、7月12日に最新シングル「時は過ぎてゆく/ヨイトマケの唄」(日本コロムビア/びいだまレコーズ)をリリースする。伝説の2人の歌手の名曲をカバーしたクミコと、プロデューサーの残間里江子氏がNEWSポストセブンにコメントを寄せた。

クミコのコメント

 どちらも私の育った伝説のシャンソン喫茶「銀巴里」の大先輩お二人の歌です。ひとつは「時は過ぎていく」。金子由香利さんはシャンソン歌手として1987年に紅白歌合戦にも出場されていますが、ブレイクのきっかけが山口百恵さんだったことは有名です。

 そのキーパーソンが、今はプロデューサーとして活躍されている残間里江子さん。引退を控えた百恵さんの直筆の自伝「蒼い時」発刊仕掛け人でもあり、百恵さんと金子さんを繋げた人物でもあります。

 百恵さんは金子さんの内省的なシャンソンに涙し、それが世に知られテレビにも登場。ここから一気に金子さんは時の人になります。私も永六輔さん司会のテレビ番組で金子さんの歌を聴きショックを受けました。それまで越路吹雪的シャンソンしか知らなかったので、ベクトルが真逆の金子さんの歌に驚き、そこで初めてシャンソンの奥深さを知ることにもなりました。

 今思えばこんなミラクルがあったのがまさに昭和でした。シャンソンというサブカルチャーとでもいえそうなジャンルから、中年女性の歌い手が颯爽と登場して来られた時代。それを受け入れ感動する人たちもたくさんいた時代。シャンソンが大手を振って歩いていた輝かしい時代。それが昭和でした。

 もう一つ「ヨイトマケの唄」。言わずと知れた美輪明宏さんのオリジナル曲です。美輪さんは、多くのシャンソンを歌われていますが、私はこれこそが最高のシャンソンだと思います。

 シャンソンは、愛の歌といっていいと思いますが、そこには男女だけでなく親子も人類愛も含まれます。愛はそれほど深く広く、汲めども尽きない泉なのだということでしょう。

 あの時代の熱、時代を照らす光を、再び胸に熱く灯したいと願っています。それが、これからの道に迷い、心細さに泣かずにすむ唯一の方法だと思います。

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