(写真はイメージ)

高収入バイトとされる「チャットレディー」を始めたという被害女性だが……(写真はイメージ)

そして始めた「副業」

 この助言を機に、SNSに投稿する写真には今まで以上に気を配るようになった。友人への借金返済を早く終わらせるため、沙也香はアルバイトを探した。1つはネットでの物品販売。家で不要になった洋服を売りに出してみたが、そう簡単に稼ぎにはつながらない。もう1つ始めた副業が、高収入バイトとされる「チャットレディー」だった。

「ビデオ通話で男性会員と話をするんです。過激なタイプとそうでないタイプがあって、過激なタイプの場合は上半身を脱いで胸を見せたりします。相手の顔は見えないようになっていて、こっちはマスクをしたり、ウィッグをつけたりしています」

 本業の会社が休日の土日に都内の事務所に「出勤」し、ブースに入って画面の前で待機する。会員から指名されれば、そこで対面する。

「過激なほうがやっぱり儲かるんです。お金を稼ぐためには仕方がなかった。かといって体を売るよりはマシかなと思っていました」

 実際に会員の前で数回、脱いでみたが、すぐにムリだと悟った。

「いくらお金のためとはいえ、知らない人に見せるのは嫌でした。上半身しか見せちゃダメなんですけど、全部脱いでと要求してくる会員もいて。さすがにそれはできませんでした。自分はここまで落ちたか、と思いました」

 過激なチャットの仕事には耐えられなかったので、店員に相談し、過激ではないタイプに切り替えた。ところが会員から指名されなかったのでバイトを辞めた。

 このチャットレディーと並行して、セクキャバにも体験入店した。とにかくお金が必要だったのだ。大学生の頃、卒業旅行の資金を稼ぐため、一時的にキャバクラでバイトをした経験はあったが、まさか20代後半になって「復帰」するとは思ってもみなかった。

「セクキャバでの体験入店は気持ち悪くて吐きそうでした。JKのような制服を着て、中年の男性数人を相手しました。1人目から胸を触られ、舐められたりもしました。やりたくないのにお金のために手を出してしまった。惨めすぎるって思いました」

 その日の仕事を最後まで終えることができず、途中で店を飛び出した。

「泣きながら帰りました」

第3回へ続く第1回から読む/本稿は『ルポ 国際ロマンス詐欺』の一部を抜粋・再構成したものです)

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